OKWAVE Stars Vol.841は映画『殺人鬼を飼う女』(2019年4月12日公開)主演の飛鳥凛さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作出演のオファーを聞いてどう感じましたか。
A飛鳥凛『ホワイトリリー』でご一緒させていただいた中田秀夫監督が撮られるとのことでしたので、すぐに「やります」と答えてから原作を読みました。多重人格のそれぞれの人格を他の人が演じると聞いて、どんな方とご一緒できるのだろう、という不安と楽しみが混ざった気持ちになりました。
台本を読むと、原作と映画とでは少し話が変わっています。原作でも共感できるところが多かったですが、映画のキョウコはより等身大の女性で、共感しながら演じられるなと感じました。
Q キョウコの役作りをどう進めましたか。
A飛鳥凛最初はキョウコの複雑な気持ちを簡単には理解できなかったです。まずはこういう境遇の方を取り上げたドキュメンタリー番組を観たり、書籍から勉強をしたりして、こういうことがあったからキョウコはこうなった、という時系列を組み立てて理解していきました。
キョウコの心のありどころを表現するにあたって、自分の中での他人格との会話と、水橋研二さん演じる田島との会話で違うように見せようと考えていました。キョウコの気持ちに寄り添うと、いつも楽しい気持ちではないですし、闇が深いです。そんなずっと助けを求め続けているような女性を演じてみて、自分自身、奮い立たせられるような感覚になりました。演じるのは大変でしたが演じて良かったなと思います。
Q 多重人格の別人格を他の方が演じるとのことで、それぞれの人格の3人の印象はいかがでしたか。
A飛鳥凛ゆかり役の松山愛里さんとは以前に共演して人となりも分かっていました。大島正華さん、中谷仁美さんは初対面でしたが、性格が私に似ていました。すごくサバサバしていて、ある意味、男っぽくて、情熱がある人柄なので、似た者同士が集まって良かったと思いました。他の人格を私が演じるところもあるので、3人の仕草や話し方を真似るためにずっと観察していたのがとても大変でした。
Q 中田監督から何か言われていたことはありますか。
A飛鳥凛中田監督とご一緒した『ホワイトリリー』の演出もそうでしたが、現場に入ってから、キョウコの感情を毎回教えていただいて、余計なことを考えずに作品の世界観に入り込めました。濡れ場のシーンでは、「もっと女豹のように!」「もっと野性的に!」という表現をされて演出をつけていただくことが多かったです。
Q 現場の雰囲気についてはいかがでしたか。
A飛鳥凛和気あいあいしていました。女の子同士、すごく仲良くて、その分、水橋さんがすごく入りにくそうでした(笑)。女性同士は仲が良いからこそ、いい意味で気を使わないでぶつかれました。濡れ場のシーンはとくにそうだと思いますが、人として信頼していないと、キョウコとしてすべて任せようと思えないですし。すごく安心して撮影できたのは、やはり仲が良かったからだと思います。
Q 撮影で印象的だったシーンはいかがでしょう。
A飛鳥凛キョウコのお母さんが家にやってきて張り倒されるシーンです。お芝居なので実際には痛くはないのですが、心が痛すぎて泣いてしまいました。お母さんを演じた根岸季衣さんは役のビジュアルがすごくて、お話しするまでは本当に怖かったです(笑)。実際にお話しをするとすごく優しい方ですが、役に入って、タバコを片手に嫌味を言われていると、本当なんじゃないかと思えるくらい迫力がありましたし、叩かれるシーンも迫真のお芝居でした。
Q 水橋さんとの最後のシーンは、振り返るといかがだったでしょうか。
A飛鳥凛女性の方がどっしりしているのかな、とみんなを見ていて思いました。『ホワイトリリー』では男女とレズビアンシーンでしたが、今回は男性一人に女性三人なので余計に女性の方がどっしり構えていました。水橋さんはすごくいい方で気遣いもしていただいたので、みんなフランクに話していました。
Q キョウコを演じてみて、飛鳥凛さんご自身は、自分の中に違う何かがいるような感覚を感じたことはありますか。
A飛鳥凛外にいる時の私と家にいる時の私はずいぶん違います。とくに、私は犬好きで、犬の散歩中によく犬に喋りかけることが多くて、それをふと思い出すと、その時の私は気がおかしくなったんじゃないかと思ったり!(笑)仕事場では絶対見せない顔をしているので、そういう二面性はきっとあると思います。
Q 完成した映画をご覧になって自分ではいかがでしたか。
A飛鳥凛キョウコのことを思うと、辛くなって泣いてしまいました。人の幸せの価値観の違いを感じましたし、彼女にとっては幸せなんだろうなと思うと涙が止まらなかったです。演じている時には気づいていませんでしたが、ものの見方が大事だということに気づかされました。言い方一つでもこんなに変わるのかと思うと、衝撃的でした。
Q 飛鳥凛さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A飛鳥凛もう一度中田監督の作品に参加できて光栄に思います。皆さんには先入観を持たずに観ていただけたらと思います。冒頭にあるセリフをいくつか聞けば、それがあらすじのようになっているので、ただ彼女の人生を観ていただきたいです。「こうはなりたくない」という気持ちがあっても、キョウコの日常の中のちょっとした幸せを感じたり共感できたりするところを見つけてほしいです。私自身、今回の作品にかけた思いとキョウコに託した思いはたくさんあります。キョウコを演じたことで、いろんな人格が自由に生きているのを楽しそうだとも思いました。だから皆さんも自分なりの幸せを悩まずに見つけてほしいです。
■Information
『殺人鬼を飼う女』
2019年4月12日(金)テアトル新宿/池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー
キョウコはビストロで働く美しいギャルソン。だが幼い頃義父から性的虐待を受け続けた過去により、複数の人格が潜んでいた。別人格はキョウコを愛するレズビアンの直美、自由奔放なビッチで母親と同じ名を名乗るゆかり、そして虐待を受けた小学生のままのハルという様々な人格と辻褄を合わせながら暮らしている。
母親の友香里は若いころから異性関係に奔放で、年下の彼氏がいながら、娘の職場にまで金をたかりくる有り様だが、お互いに嫌悪感を抱きながらも離れられずにいた。これらにより異性を好きになることのないキョウコであったが、ある日マンションの隣人が憧れの小説家・田島冬樹と知り恋心を抱き始める。そして二人の距離が縮まるにつれ、田島の周辺に不可解な出来事が重なり、別人格たちは田島の前にキョウコに近づかないよう忠告し、母親は「あの子は普通じゃない…」と助言をし、田島は次第に解離性同一性障害のキョウコを受けとめようとする。
だがある日、キョウコの腕に“殺す”という恐ろしい文字が真紅の口紅で書かれ、何かを察したキョウコは動きにでるが、今まで保たれていた均衡が大きく崩れ始めようとしていた。
監督:中田秀夫
出演:飛鳥凛 /水橋研二/大島正華 松山愛里 中谷仁美 / 根岸季衣
配給:KADOKAWA
R18+
(C) 2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会
■Profile
飛鳥凛
1991年3月28日生まれ、大阪府出身。A型。
2007年の映画『天使がくれたもの』でデビュー。翌年『口裂け女2』で初主演を果たす。その後も、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、09年「仮面ライダーW」では、敵役ヒロインで人気アイドルでもある園咲若菜を演じ、ブレイク。2017年にはファースト写真集「凛」を講談社より発売し、日活ロマンポルノ45周年を記念した「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」のうちの1作『ホワイトリリー』(中田秀夫監督)で主演を務めた。
今年7月には舞台「HERO~2019夏~」(ヒューリックホール東京)への出演が控える。
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