OKWAVE Stars Vol.859は映画版『柴公園』(2019年6月14日公開)綾部真弥監督へのインタビューをお送りします。
Q “柴連れおっさんたちの壮大なる無駄話。”という本作ですが、監督ご自身は犬はお好きですか。
A綾部真弥猫のかわいさも分かりますが、僕は断然犬派です。小学生の頃から実家には犬がいる生活を送っていましたので犬が大好きです。
Q では本企画についてどう受け止められたのでしょう。
A綾部真弥企画/脚本の永森裕二さんから、「犬を連れたおじさん3人が公園で喋っている」企画だと台本を読ませていただいて、とても面白かったです。他愛もない話をしている3人がおかしくて、時には含蓄もあって、社会性のある問題や今の流行を風刺していたり、シュールなところもあります。いろんな見方ができて、魅力的な企画だと思いました。
Q 映像にする上でどのようなことを心がけましたか。
A綾部真弥人物に関しては会話劇なので、セリフのテンポ感を大事にしました。漫才ではありませんが、セリフのやり取りの緩急をつけて笑える瞬間を作るようにしました。そして、僕も犬好きとはいえ、撮影で犬が一頭や二頭ではなく、何頭もいる現場は初めてだったので、犬がなるべくリラックスできる、自然な状態でいられるようにと心がけました。犬が何かお芝居をさせられているのではなく、なるべく自然な感じの姿を捉えられるようにしました。くだらないことを延々と議論している飼い主の大人たちと、リラックスしている犬たちの対比で、柴犬の魅力が出せたかなと思います。
Q 3人のおじさんの関係性の描き方についてはいかがでしたか。
A綾部真弥以前に仕事をしたことがあるのが渋川清彦さんだけで、大西信満さん、ドロンズ石本さんとは初めてでした。3人を描く上ではそれぞれのキャラクターが立つようにしました。渋川さん演じるあたるパパはあまり前に出ませんが、時々前に出たりいじけたりするかわいらしさがあります。大西さんの演じたじっちゃんパパは怒りん坊だけど、あたるパパが好きであれこれ口出ししてしまうようなキャラクター。石本さんは芸人さんだけあって、現場でも空気を作ってくれて、演じたさちこパパはおおらかなキャラクターですが、その3人のキャラクターが立つように、やりすぎない程度にバランスを取りました。結果として、この3人でなければできない持ち味を発揮していただけました。とにかくセリフが多いので、3人で読み合わせの練習をよくされていました。やはり、撮影は犬次第なところがあるので、現場がスムーズにいくようにすごく真面目に取り組まれていて、すごく助けられました。
Q 映画版ならではの要素についてお聞かせください。
A綾部真弥ドラマ版の全10話、映画版の台本が全て仕上がっている状態でクランクインしました。ですので、なるべく、ドラマの第1話から順番になるようにしましたが、実際には同時進行でした。午前中はドラマ、午後は映画の撮影という日もあって、役者の皆さんはもちろん、僕も切り替えが難しい時もありました。
ドラマのファンの方たちにとっての「いつもどおりの『柴公園』」という面白さを残しつつ、映画ならではのエモーショナルさやスクリーンサイズを意識した画作りを心がけました。ドラマでは明かされなかった新たな事実も入れながら、映画ならではの満足感が得られるようにしていきました。
Q 恋愛要素が入ってくるのが意外でした。
A綾部真弥本作は不器用な大人たちの話ですし、中でも恋愛は一番苦手な要素ですよね。人と関わるのが苦手なあたるパパとポチママがそこに踏み込んでいきますが、それを恋愛ドラマとして観てもらってもいいですし、今までできなかったことに一歩踏み出す勇気を描いている、と捉えていただいてもいいです。そこに犬たちが一役買っているというのが本作ならではです。でも、犬を飼っていると生活に彩りがあるのも事実です。犬の散歩に行くだけで、普段挨拶をしない人ともコミュニケーションが取れることもありますし、犬を飼うことは大変なこともたくさんありますが、生活がガラッと変わる、とても良いことだと思います。
Q 撮影を通じて印象的だったことは。
A綾部真弥現場にはドッグトレーナーの方に来ていただいていましたが、渋川さんら3人と桜井ユキさんは朝来ると自分たちで率先して犬の状態を確認して、現場に入る前に公園の回りを散歩させて、本当の飼い主のように犬と過ごしていました。撮影の時だけ犬と接しているのではないので、犬もなつきますし、間違いなくそれが映像に表れていると思います。大西さんも石本さんも今でも自分が飼っていた犬たちがいる施設まで会いに行っているそうなので、役の犬だけど、好きになっていまだに交流を続けていらっしゃるのは素晴らしいなと思います。
Q 本作を通じて、新たな発見などありましたか。
A綾部真弥最初は複数いる犬と人間の芝居はどこまでできるのかと心配にもなりましたが、いざやってみると、台本通りに進まないこともあるのですが、犬たちのイレギュラーな動きがかえって面白くて、現場で臨機応変にやる楽しさを見出せました。
Q 綾部真弥監督からOKWAVEユーザーにメッセージ!
A綾部真弥TVドラマ「柴公園」を観ていただいた方には、いつものドラマの面白さが映画版にも出ていると思いますので、新たな事実や展開もあって満足していただけるかと思います。映画から初めて観る方も、すぐに世界観を理解していただけるので、気軽な気持ちで観ていただけたらと思います。柴犬のかわいい仕草と、不器用なキャラクターたちがイキイキとしていますので、人と動物の物語が感じられると思います。
Q綾部真弥監督からOKWAVEユーザーに質問!
綾部真弥僕の周りでは『柴公園』に出てくるワンちゃんの人気が結構割れています。
皆さんはどのワンちゃんが一番お気に入りか聞いてみたいです。
☆出演犬たちはこちら:https://shiba-park.com/cast.php
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☆ポチママ役・桜井ユキさんへのインタビューも合わせて読もう!
⇒Vol.815 女優 桜井ユキ
■Information
『柴公園』
ある街の公園。柴犬を連れてやって来る3人のおっさん、あたるパパ、じっちゃんパパ、さちこパパは、日々壮大な無駄話を繰り広げていた。ある日、3人の中で唯一独身のあたるパパに恋の予感が。相手は真っ白な柴犬・ポチを連れたポチママ!?もどかしいふたりを応援するじっちゃんパパとさちこパパだったが、あたるパパが謎のイケメンと密会しているのを目撃。イケメンの正体を探るべく、聞き込み調査をするふたりだが、さっぱり要領を得ない。一方、豆柴の一郎をあたるパパに預けていた中年ニートの芝二郎が、そろそろ一郎を返して欲しいとあたるパパに連絡をしてくる…。
渋川清彦
大西信満 ドロンズ石本 桜井ユキ 水野勝 松本若菜
寺田農 山下真司 佐藤二朗
監督:綾部真弥
企画・配給:AMGエンタテインメント
配給協力:イオンエンターテイメント
(C)2019「柴公園」製作委員会
■Profile
綾部真弥
1980年10月16日生まれ、東京都出身。
園子温監督に師事し、『新宿スワン』や『リアル鬼ごっこ』などの助監督を務める。これまでの監督作にドラマ&映画『人狼ゲーム』シリーズ(15〜18)、『ゼニガタ』(18)、『ピア〜まちをつなぐもの〜』(19)、配信ドラマ「みんな!エスパーだよ!~欲望だらけのラブ・ウォーズ~」(15)など。