Vol.866 女優 西川可奈子(映画『アンダー・ユア・ベッド』)

西川可奈子(映画『アンダー・ユア・ベッド』)

OKWAVE Stars Vol.866は映画『アンダー・ユア・ベッド』(2019年7月19日公開)に出演の西川可奈子さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作についての第一印象をお聞かせください。

A映画『アンダー・ユア・ベッド』西川可奈子マネージャーから本作の台本を渡されて「どう思う?」と聞かれ、台本を読んですぐに、千尋を絶対に自分が演じたいと伝えました。悲惨だけどどこか美しいというか。単にストーカーの話を描いているのではなく、それぞれの登場人物の孤独の形や愛情表現が描かれて、台本自体もとても魅力的で惚れ込みました。とても難しい役だと思いましたが、だからこそ作品に絶対に携わりたいと思いました。千尋役はオーディションで掴みましたが、決まった時は嬉しくてすぐに母に電話をして伝えました。『私は絶対許さない』のマドリード国際映画祭出品でスペインに行く前だったので、向こうで結果を待つことなく、すぐに良い結果が届いたので、映画祭ではのびのびと滞在することができました(笑)。

Q 千尋役についてはどう受け止めましたか。

A映画『アンダー・ユア・ベッド』西川可奈子19歳の千尋はみんなに優しくて純粋な女の子です。だから三井くんに声を掛けたときも、その後にお茶に誘われたときも、みんなと同じように接することができるいい子です。そんな子が何年か経って、凄惨な生活を送ることになってしまった経緯についていろいろ考えました。安里麻里監督や夫役の安部賢一さんと話し合って、どうしてこうなってしまったのかをディスカッションしました。その中で大事にしたのは、千尋の見た目が変わっても、根本の優しい部分や笑顔が一貫して出すことです。笑顔が出せるような心境自体はとても少ないのですが、監督からもその部分は求められたので、意識して出しました。

Q 安里監督からとくに言われたことはありますか。

A映画『アンダー・ユア・ベッド』西川可奈子「とにかく優しい千尋を」と言われました。大人の千尋は精神的にも鬱のような状態なので、そういう余裕のないときと、笑顔を見せるような場面でのメリハリについて、引き出していただきました。現場にいるとどうしても良くない精神状態の千尋に引きずられてしまうので、必要以上に19歳の千尋を出すことを意識しましたが、切り替えが難しかったです。

Q 撮影の現場はどんな様子でしたか。

A西川可奈子題材的に張り詰めるシーンが多いので、集中しなければならないことは多かったです。ただ、それはどこの現場も同じです。今回の現場は監督をはじめ、スタッフ皆さんの熱量がすごかったです。「この作品で勝負するんだ」という気持ちが伝わってきて、みんなが一つになっている熱い現場でした。それが画面を通して伝わればいいなと思いました。もちろん、張り詰めているだけではなく、冗談を言える和やかな時間もありましたので、いい雰囲気で撮影できたと思います。

Q 高良健吾さんとの共演についてはいかがでしたか。

A映画『アンダー・ユア・ベッド』西川可奈子一度は共演したいと思っていた役者さんです。高良さんの作品は以前から観ていて繊細なお芝居をされる印象でした。お会いして、真っ直ぐな印象も受けました。現場で芝居について話し合うことはあまりなく、暗黙の了解のような中で作り上げていきました。三井くんが見ている千尋像もあると思ったので、あまり高良さんとそれを話してイメージを崩してはいけないと思って、いい距離感を保ってお芝居をしました。

Q DV夫とのシーンはハードだったかと思います。

A西川可奈子夫・健太郎役の安倍さんとはオーディションのときからご一緒していたので、「この人なら大丈夫」と信頼できていました。DVのシーンで手加減されてしまうとかえってリアクションに困ってしまいます。安倍さんは100%で来てくれるのでこちらもしっかりリアクションができました。お互いに信頼していないとできませんし、カットがかかるごとに「大丈夫?」と気遣いをしていただいたので、助けられながら演じることができました。
近くで夫の健太郎の目を見ると本当にすごく怖くて、演技と分かっていても震えてしまいそうになりました。この映画は音をあまりつけていなくて、映画の中で鳴っている物音は現場で実際に起きているものなので、無言で向き合っている時の緊迫感はすごかったです。

Q 癒やしは子どもか観賞魚店くらいですね。

A西川可奈子娘役の赤ちゃんが本当にかわいくて。抱っこして寝かすシーンは甘えてくれて癒やされましたが、大人の千尋はそれを感じている余裕はないですし、癒やしが本当に無いんです。

Q この映画出演を通じて新しい発見などはありましたか。

A西川可奈子ちょっとでも何かが欠けると作品は違う方向にいってしまいがちです。逆に、作品や座長に惚れ込んで作品を作り上げる気持ちを全員が持てれば、それが画面にも映るんだなと感じました。完成したこの作品を観た時、私はまた千尋に戻ってしまって2日間くらい役を引きずってましたね。そういう作品に出会えたことは本当に幸運だと思っています。言葉では伝えられないような熱量が画面を通して伝わるといいなと思います。

Q 三井はストーカー的な行動をとっていますが、作品全般の印象として、それがそう見えないのが面白いなと感じました。

A西川可奈子そこが監督の狙いだと思います。三井くんは盗撮をはじめ犯罪行為をしていますが、そんな主人公に感情移入できる不思議な体験ができると思います。実際に三井くんのような人がいたら怖いですが、張り詰めた環境に置かれている千尋の立場なら、むしろ三井くんの存在は大きいんじゃないかと思います。

Q西川可奈子さんからOKWAVEユーザーに質問!

西川可奈子千尋にとっては三井くんの存在が救いになっていきます。
皆さんへの質問ですが、何かこれがあったから前に進めた、というきっかけがあったら教えてください。

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■Information

『アンダー・ユア・ベッド』

映画『アンダー・ユア・ベッド』2019年7月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー

三井直人は、今から11年前、大学の講義中に「三井くん」と名前を呼んでくれた佐々木千尋のことをふいに思い出した。講義後に千尋を喫茶店に誘い、彼女が好きだというマンデリンのコーヒーを飲み、飼育しているグッピーを分けてあげる話をしたのだった。三井は人生で唯一幸せだったこの時を思い出し、“もう一度名前を呼ばれたい”一心で、現在の彼女の自宅を探し出し、近くにいられるよう引っ越し、観賞魚店をオープンさせた。しかし、目の前に現れた千尋にあの日のキラキラとした眩しい面影はなく、今にも消え入りそうな虚ろな表情の変わり果てた姿に。数日後、千尋が店に来店するも、当然三井のことは覚えてはいないが、“グッピーを飼育する”という絶好の機会を得ることができ、その日以降無断で千尋の家の合鍵を作り、留守を見計らい定期的に潜入し、寝室のベッドに盗聴器を仕掛け盗聴、窓越しに望遠レンズで盗撮し毎日近くから監視する毎日が始まった。だが、見えてきたものは、夫・浜崎健太郎から激しいDVを受ける凄惨な姿であった…。

高良健吾
西川可奈子 安部賢一 三河悠冴 三宅亮輔

原作:大石圭「アンダー・ユア・ベッド」(角川ホラー文庫)
監督・脚本:安里麻里
配給:KADOKAWA

http://underyourbed.jp/

©2019映画「アンダー・ユア・ベッド」製作委員会


■Profile

西川可奈子

西川可奈子(映画『アンダー・ユア・ベッド』)大阪府出身。
2007年初舞台以後、小劇場を中心に25作品の主にヒロインとして活躍後、2015年よりテレビ、映画など映像作品を中心に活躍。
主な出演作にTBS「ホテルコンシェルジェ」(15)、CX「セシルのもくろみ」(17)、『ホワイトリリー』(17/中田秀夫監督)、NHK「西郷どん」(18)、 『Single mom優しい家族』(18/松本克己監督)など。『私は絶対許さない』(18/和田秀樹監督)ではマドリード国際映画祭主演女優賞ノミネートされ、今後の活躍に期待が高まる注目女優。

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