Vol.871 女優 上白石萌音、山崎紘菜(映画『スタートアップ・ガールズ』について)

上白石萌音、山崎紘菜(映画『スタートアップ・ガールズ』)

OKWAVE Stars Vol.871は映画『スタートアップ・ガールズ』(2019年9月6日公開)W主演の上白石萌音さん、山崎紘菜さんへのインタビューをお送りします。

Q 台本を読まれてどう感じましたか。

A上白石萌音すごく疾走感があってあっという間に読み終えました。セリフもすごくキャッチーで、何気ないけれど核心をついた言葉がすごく多くて面白いなと思いました。私の役は想像以上に破天荒で、どう演じようかとは思いましたが、爽やかな気分の中で始まるんだろうなという胸の高まりを感じました。

山崎紘菜スタートアップという言葉や起業している人のことも知らなくて、未知の世界に遭遇したような気になったのを覚えています。光と希というふたりのキャラクターがすごく対照的なのも面白くて、萌音ちゃんと撮影前に会った時に「すごく振り回すから覚悟してね」と言われたので、思いっきり振り回されに行こうと思いました。

Q お互いに第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞された同期とのことですね。

A上白石萌音はい、7年間くらいずっと一緒のチームでした。紘菜ちゃんは私にとって相談相手でもあり、ファンでもあるので、台本の最初のページにふたりの名前がドン!とあって、W主演を演じられるのは、7年前には想像できていなくて嬉しかったです。

山崎紘菜レッスンを一緒に受けていた時期もあるので、そんなふたりがいろいろな経験を積んで、この映画の主演という場所でまた巡り会えたのが嬉しかったですし感慨深かったです。

Q 光役のテンションの高さをどう作って維持していましたか。

A映画『スタートアップ・ガールズ』上白石萌音演じている時はナチュラルハイみたいな感じでした。撮影期間中、朝起きて、光の髪の色を見ると、どんなに眠くても目が覚めるんです(笑)。髪型は派手ですし、ガチャガチャな色の衣装を着ると、考え方も拡散するような感じで、自然と光になれました。インパクトのある外見でしたので、嫌われてもいいという気持ちでいました。監督からは、「とにかくウロチョロと、喋っていなくてもうるさい感じを目指して」と言われて、必要以上にアップダウンしていたので、毎日撮影が終わると普段以上に疲れました。光の場合、閃きというのはそういう衝動から生まれるのかなと。動けば動くほど、啖呵を切れば切るほど、何かに結びつくのだろうと、セリフのここで遊ぼう、セットの中のこの小道具を使おう、と考えて演じました。監督からは何をしてもいいよと守っていただいていましたが、紘菜ちゃんのセリフの時に、何かが入った瓶をガチャガチャ振っていたら、録音部さんに「それだけはやめて!」と言われてしまいました(笑)。今までダメだろうなと思っていた演技がこの映画の世界ではなかったので、私自身も壊された気がします。

Q 希役と共通する部分はありましたか。

A映画『スタートアップ・ガールズ』山崎紘菜私も希のように自分のことを平凡だと思っていて。芸能の仕事をしていると様々な才能を持った方と出会うことが多いので、そんな才能に直面した時の眩しさや、希が感じる「普通でいていいのかな」という感覚や葛藤はすごく理解できました。希はきっと普通の子だと言われると思いますが、その“普通”って何なのだろうと考えていくうちに、みんなそれぞれに何かがあって、やはり“普通”なんてないのだろうなと思い至りました。

Q 撮影の様子についてお聞かせください。

A上白石萌音この映画は私が午前中に撮影して、午後からは紘菜ちゃんということも多かったので、1日中詰め込まれているわけではありませんが、それでもこのセリフ量を演じるのは、ずっと追われているような感覚もありました。起業する時もこのくらい慌ただしいのだろうなと、これがリアルなんだと思ってひたすら走っている感覚でした。
ハチャメチャなことをやっていましたが現場はとても温かくて平和でした。少人数でしたがすごく結束が強かったです。監督は自分が考えてきたものを一度全部受け止めてくださる方で、いままでで一番監督に相談しながら演じることができました。光の癖や動きのひとつひとつの細かい役作りを一緒にさせていただいたので、不安なくノビノビと演じさせていただきました。

山崎紘菜スピード感があって、集中して撮影できたので、映画の中でふたりが起業をする様子とも似ているなと感じました。監督は、私が悩んでいる時も見抜いていて、力強くひっぱるというよりは、寄り添って私の歩調に合わせて温かく歩んでくれるような素敵な方で、すごく助けていただきました。

Q おふたりの共演シーンについてはいかがでしたか。

A映画『スタートアップ・ガールズ』上白石萌音私はすごくやりやすかったです。光のようなすごく横柄な態度は、いくら演技だからといっても初対面の相手には遠慮してしまいます。紘菜ちゃんとは長い付き合いがあるので、何をやってもいいやと(笑)、全部ぶつけたら、全部受け止めてくれました。光の破天荒さは紘菜ちゃんが引き出してくれたんだと思います。ずっと相談したり、行き帰りに反省会をしていました。同じ現場にいる役者同士で全部オープンにできるのはなかなかないので、すごくありがたかったです。

山崎紘菜萌音ちゃんがハチャメチャでいてくれるからこそ、希の受けの姿勢ができたので、私も萌音ちゃんの光あっての希だと思っています。希は光以外からも何を言われてもぐっと耐えたり我慢する、というシーンが多くて私自身もモヤモヤしてしまっていたんですが、それを光と希がお酒を飲んで言い合いをしたり、アジカンさんの歌を歌うシーンで発散できたのが良かったです(笑)。

上白石萌音役で溜まったものは役で発散する、誰も傷つかないいい方法です(笑)。

Q スタートアップならではの熱量のような部分をどう作り上げましたか。

A上白石萌音私はただただ振り切る感じでした。自分でリミットを作らないで、先入観も取り除いて、できることを全部やろうと思いました。そんな光の愛おしいところは、ハチャメチャなだけではなくて、孤独を抱えていたり、何かトラウマがあるような、普段の破天荒さとの振り幅としての繊細な部分も人一倍強いというところです。むしろ、そこがなかったら、観客の方には邪魔な存在になってしまうので、そこに人間らしさを込めました。私自身が光のことが大好きなので、どうやったらみんなにもこの子を好きになってもらえるかなと考えながら演じました。

Q 大企業に在籍して、光のような存在と向き合う希をどう作り上げましたか。

A山崎紘菜多くの人にとって、共感するのは光よりも希だと思います。なので自分が平凡だと思って毎日刺激がない生活をしていることに悩んでいる方にも共感してもらえるようなキャラクターがいいなと。光のような強い才能に出会ったときの衝撃や焦り、劣等感や嫉妬のようなマイナスな気持ちと、それと同時に引き寄せられる尊敬や憧れのようなものとの葛藤を大事にしました。モヤモヤしたものを抱えている方が、希の成長を見て前向きになってほしいなと思います。

Q スタートアップの考え方の一つである「世の中を変える」ということが映画の中にも出てきますが、何か世の中が変わってほしいなと思うことはありますか。

A映画『スタートアップ・ガールズ』上白石萌音私は演劇のチケットがもっと安くなればいいなと思います。ロンドンに一人旅をした時にミュージカルを観に行ったら、値段が高い席もありますが、すごく安い席もあって、子どもや学生もたくさん観に来ていたんです。私も舞台に立つことが多いので感じますが、お客様の年齢層が高いので、もっと学生さんや若い方にも観てほしいなと。そのためにも映画を観に行くくらいの気軽さで観劇できたらいいのにな、とロンドンを旅行して思いました。

山崎紘菜私はラグビーのお仕事もさせていただいているので、ラグビーがもっと日常的になって、その素晴らしさが伝わるといいです。ラグビーの強豪国の南アフリカは、ラグビーを通して人種や国が一つにまとまったという歴史があるので、日本でもラグビーを通してみんながまとまったり、より良い社会になる一助になればいいなと思います。日本でのワールドカップが9月20日に開幕するので、もっと日常に浸透する機会になれば嬉しいです。

Q上白石萌音さん、山崎紘菜さんからOKWAVEユーザーに質問!

上白石萌音私はこの映画のために髪の毛を染めてブリーチにしましたが、髪の毛はこんなに痛むんだと感じましたし、維持もすごく大変でした。だから金髪の方やピンクや青に染めている方を見ると尊敬の気持ちが止まりません。髪の毛をブリーチされている方に、どうやってメンテナンスしていますか、と尊敬を込めて聞きたいです。それと、もし学校や会社などの規制がなかったら、皆さんはどんな髪の色にしたいかも聞いてみたいです。
この映画では、自分の言いたいこと、やりたいことができていますか、という“己の開放”ということもテーマのひとつなので、この映画を観て、ひとつでもしがらみがとれたらいいなと思います。

山崎紘菜私からの質問は、自分を3つの言葉で表すと何ですか、です。私も自分を表す言葉をよく考えますが、この映画を観た人が光と希というふたつの個性と出会って、自分を探すきっかけになれば嬉しいです。自分のやりたいことが見つかったり、背中を押してくれるような映画になればいいなと思います。

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■Information

『スタートアップ・ガールズ』

映画『スタートアップ・ガールズ』2019年9月6日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

自由奔放で天才的な大学生起業家・光と“無難 is BEST”な安定志向をもつ大企業OL・希。
正反対の2人は、光の事業をサポートしている水木の計らいで、小児医療遠隔操作で診察をする新プロジェクトのビジネスパートナーになってしまう。身勝手な光の言動に振り回される希は、光を信じることができず、仕事にも行き詰まる。
非常識女vs手堅い女。人生最悪の出会いは、史上最強の新時代を創り出すことができるのか?

上白石萌音、山崎紘菜
渡辺真起子 宮川一朗太 神保悟志
山本耕史

監督:池田千尋
配給:プレシディオ

http://startup-girls.jp/

©2018 KM-WWORKS Ltd., All rights reserved.


■Profile映画『スタートアップ・ガールズ』

上白石萌音

1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。
2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞しデビュー。
2014年、『舞妓はレディ』(周防正行監督)にて映画初主演を飾り、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞など数々受賞。
2016年には大ヒットアニメーション映画『君の名は。』(新海誠監督)にて、ヒロイン:宮水三葉を演じ、同年、歌手としてもデビュー。その他、主な出演作品として、映画『溺れるナイフ』(山戸結希監督)、『ちはやふる』シリーズ(小泉徳宏監督)、『羊と鋼の森』(橋本光二郎監督)、『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(川村泰祐監督)や、舞台『火星のふたり』、ミュージカル『ナイツ・テイル–騎士物語–』などがある。
10月からは、井上ひさし最後の戯曲作品である『組曲虐殺』の公演を控えている。

https://kamishiraishimone.com/
https://www.instagram.com/mone_kamishiraishi/

山崎紘菜

1994年4月25日生まれ、千葉県出身。
2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディションにて審査員特別賞受賞。
2012年、映画『僕等がいた』(三木孝浩監督)にてスクリーンデビュー。2014年には『神さまの言うとおり』(三池崇史監督)にて初ヒロイン、2019年には連続ドラマ「平成物語~なんでもないけれど、かけがえのない瞬間~」(フジテレビ)で初主演を務める。
映画・ドラマに出演する傍ら、国内のファッションイベントにもモデルとして出演。現在はラグビーワールドカップ2019開催都市特別サポーター(東京)としての活動や、日本テレビ「Going!Sports&News」土曜お天気キャスターとしてレギュラー出演するなど、多岐にわたり活躍中。
2020年には映画『MONSTER HUNTER』でハリウッドデビューを予定している。

https://www.toho-ent.co.jp/actor/1097
https://www.instagram.com/hirona_yamazaki/?hl=ja