OKWAVE Stars Vol.878は、シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019にて上映される映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』主演の藤田恵名さんへのインタビューをお送りします。
Q 「言えない事は歌の中」ミュージックビデオから長編映画に至った本作とのことですが、映画化の経緯についてお聞かせください。
A藤田恵名このビジュアルでのミュージックビデオを先に公開していましたが、実際には映画の撮影と同時進行でした。映画を撮りながら、ここはミュージックビデオで使うシーン、といった形で進めていました。三社祭を背景にゲリラ撮影したシーンはギリギリまで撮影できるのかわからなかったですし、終盤のアクションも当初はミュージックビデオにも使う予定でした。いろいろなことがありましたが、西村監督の思い切りの良さで乗り切った部分が多いです。
私のミュージックビデオでこんなに血が出てしまうのはなかったですし、井口昇監督と「境界線」のミュージックビデオを作らせていただいたのも、今回の作品がきっかけです。
Q 台本を読まれて、ストーリーをどう感じましたか。
A藤田恵名西村監督のことは以前から聞いていたので、すごい世界観の作品だなと感じました。非日常の作品なので、思いっきり演じようと思いました。何より、映画であること以前に、殺し屋の役だったり、そのようなシチュエーションが自分に降りかかることはまず無いです。自分にしか演じられない女殺し屋のキカ役をいただいたので、台本を読んでいくうちに、キカの宿命を思いやったり、本当は寂しい子なのかもしれないとも感じたので、大事に演じようと思いました。
Q キカ役の役作りはどのように進めましたか。
A藤田恵名殺し屋の役なので、自分もどこから狙われているかわからないし、いつも睨みをきかせているような、眼力に気をつけました。ほぼセリフがないので、表情でどれだけ訴えられるかを研究しました。何より、このメイクはいろいろ大変でした。
西村監督からの指示で、笑わない役でいることを求められていて。撮影期間中は、役に入れ込みすぎて、撮影後も町中を歩いている人がエキストラに見えて、なかなか役が抜けませんでした。
Q 衝撃的なビジュアルについてお聞かせください。
A藤田恵名このメイクを仕上げるのはものすごく大変で、グラビア活動にものすごく支障が出ましたが、いましかできないことだと思って楽しみました。最初にお話をいただいた当時は明るい髪色だったのを、「黒髪にするかモヒカンにするか」と聞かれて、黒髪にしたんです。しかも、髪を固めているのは紙粘土で、本来は頭に載せてはダメなくらいダメージが大ききくて。顔のラメもそうですし、アクションシーンを演じれば、ぶつかることも多かったので、全身に痣ができるくらい体を張りました。
最初にテストでメイクをしたときは1時間半くらいかかってましたが、撮影の最後の方は30分くらいで仕上がるようになっていました。当初、メイクしてもらっている間はだいたい寝てたので毎回起きて仕上がりにびっくりしてました(笑)。
Q アクションシーンはいかがでしたか。
A藤田恵名私は体力はありますが、運動神経がないということをまざまざと稽古で思い知らされました。それぞれの動きに意味があることに気づかされたし、体が動かないことに苦労しました。でも、格好良くなくても、必死に相手を殺そうとする気持ちがあれば何とかなる(笑)、という精神論で乗り切りました。その代償であちこち怪我をしてしまいました(笑)。
坂口拓さんの稽古場でアクションを習っていて、坂口さんのアクションの映像もたくさん見ましたが、普通の動きが早送りのように見えて、参考になるまでにも至らなかったです。台本をいただいてクランクインするまでの時間も短かったので、鍛えきれないまま挑むことになってしまいました。
Q お料理を作ったり食べるシーンも多かったですが、それらはいかがでしたか。
A藤田恵名普段は無表情のキカですが、食事をするシーンは美味しそうに食べていいと監督から言われていたので、わりとそのままに演じました。お料理の方は、手際良く作ってほしいとリクエストされましたが、普段私は自炊をしないので、やれば何とかなるかな、と思って現場に入ったものの、引きのカット以外は私ではないです(笑)。ジブリなどのヒット映画でも、ご飯の描写が丁寧に描かれていますが、この映画でも調理器具やお弁当箱にも監督はすごくこだわっていました。私は普段はすごく偏食ですが、監督の食へのこだわりを見て、とにかく食べることをがんばろうと思いました。
Q 主題歌でもある「言えない事は歌の中」制作当時のことについてお聞かせください。
A藤田恵名今年発売のアルバム『色者』の1曲目に収録していますが、作った当時は、私の名前が少し知られてきて、アンチファンも増えてきた頃です。これを言ったら炎上する、といった言葉の恐ろしさを知った時期でもあるので、その頃の感情を歌詞にするまでもなく、自分の中に秘めておこうと、これを歌えば解決できる、という思いを込めて作りました。いろいろなことが重なって仕事への不安もあった、そんな苦しい時期にできた楽曲です。いまは苦しいと思っても、その感情に負けっぱなしではいられない、と思えるようになったので、苦しいときにこそギターを手にとって歌に変えていくということを覚えていった歌です。
Q この映画への出演を経てアーティスト活動に影響を及ぼしたことはいかがでしょう。
A藤田恵名キカを演じたことでの、映画の中だから人を殴れる、殺せる、ということを、歌の中にも置き換えられるようになりました。当たり障りのないことではなく、もっと歌にもいろんなことを乗せていいんだ、という自分の中の許容範囲が広がったのはこの映画のおかげだと思います。何を今まで怖がっていたのだろうとは思いますが、ホラーや人が殺されてしまう映画は本当は好きではないです(笑)。また映画に出られるならもう少し爽やかな映画に出たいです(笑)。
Q この映画を携えてどこまでいきたいですか。
A藤田恵名西村監督は海外でも評価されていますし、“WELCOME TO JAPAN”というタイトルで海外に行かないのもどうかと思うので、呼んでいただけたら行きたいですし、そのときにはライヴもやりたいです。先日、初めて香港でライヴをする機会があって、言葉は通じなくても、パフォーマンスでお客さんが盛り上がっている姿を見て、日本の作品が愛されていることも体感できました。こうして歌もお芝居もやらせていただいているので、両方とも欲深くできたらいいなと思っています。この映画は海外の人に誤解されそうな内容ですが、私は1ミリもこんな思想ではないと声を大にして言っておきたいです。ぜんぶ監督の思想ですよと(笑)。そんな監督も少しバランスを取ってユーモアな部分を増やしていったので、深刻にとらえずに観てほしいなと思います。
Q 本作出演を通じて新しい発見などはありましたか。
A藤田恵名私は普段歩く時、かなり内股なんです。でもキカはそうではないので歩き方も意識しました。それをモニター越しに見て、様になっているなと思いました。同時に、誰かに守ってもらうのではなく、キカは出会ったアイドルの女の子のことを守りたいと思いますが、私自身もそう思えたので、そういう強い女性になりたいと思いました。それと、こんなに料理ができないのかとも思ったので、もう少し女性らしさも兼ね備えたいとも思いました。
Q 今後の抱負をお聞かせください。
A藤田恵名“今一番脱げるシンガソングライター”というベースは保ちつつ、思い切りの良さや、私はここまでしたぞという自負が説得力となって歌を聴いてもらえたらと思います。
Q 藤田恵名さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A藤田恵名いろんな意味でインパクトの強い映画になっています。今一番脱げるシンガソングライター藤田と世界に認められている西村監督の化学反応で面白い映画になっています。私はキカという役にのめり込んで映画の中に入りましたので、ぜひ私が真剣に向き合ったキカのことを映画館で観ていただけたらと思います。
Q藤田恵名さんからOKWAVEユーザーに質問!
藤田恵名私は同じ映画を自分のバイブルのように大事に何度も観ます。皆さんのこれまでの人生の中で、これは自分のバイブルだと言えるくらい影響を受けた映画は何ですか。ちなみに、私は『キューティー・ブロンド』です。
■Information
『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』
シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019
【東京】ヒューマントラストシネマ渋谷 10月11日(金)~10月31日(木)
【名古屋】シネマスコーレ 10月26日(土)~11月15日(金)
【大阪】シネ・リーブル梅田 11月8日(金)~11月21日(木)
上映時間は公式サイトを参照:https://www.shochiku.co.jp/sitgesfanta/
2020年日本では大東亜世界体育大会が行われようとしていた。日本にやってくる様々な国からの不良外国人から日本を守るため極右的組織に育てられた女殺し屋キカに不良外国人抹殺の指令が下る。壮絶な殺しの世界の中で、あるアイドルの少女との出会いによりキカの内部で何かが変わっていく。
出演:藤田恵名 屋敷紘子 サイボーグかおり 笹野鈴々音 鈴木希実 鳥居みゆき
監督:西村喜廣
宣伝・配給:ブラウニー
(C)2019キングレコード
シッチェス映画祭とは
シッチェス映画祭は、1968年に創設されたスペイン・バルセロナ近郊の海辺のリゾート地シッチェスで毎年10月に開催される映画祭。国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭であり、ファンタジー系作品(SF映画・ホラー映画・スリラー映画・サスペンス映画など)を中心に扱うスペシャライズド映画祭として、世界でも権威のある国際映画祭のひとつである。ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭、ポルト国際映画祭(ファンタスポルト)と並ぶ世界三大ファンタスティック映画祭の代表格であり、ホラーやファンタジージャンル映画の最先端作品を選定する特徴がある。歴代の最優秀作品には『狼の血族』『死霊のしたたり』、日本映画の『リング』などがある。最優秀賞受賞者もヴィンセント・プライスからデヴィッド・クローネンバーグ、審査員には『食人族』のルッジェロ・デオダートがいたりと、本映画祭の歴史がホラー映画の歴史を表していると言っても過言ではない。
近年では中島哲也監督の『渇き。』が最優秀男優賞、新海誠監督の「君の名は。」がアニメーション部門にて、最優秀長編作品賞を受賞するなど、日本ともゆかりの深い。
『シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション』は、シッチェス映画祭で上映された作品の中から厳選した作品を日本で上映する、シッチェス映画祭公認の映画祭。これまで2012年、13年、14年、15年まで開催され、2018年に日本のホラーファンから復活を求める声が多数集まり、3年振りに完全復活!そして、令和元年の今年も『シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019』の開催が決定!
■Profile
藤田恵名
歌手活動と並行してグラビアアイドルとしても活躍中。
キャッチコピーは「いま一番”脱げる”シンガーソングライター」。自分自身で作詞作曲をし、精力的にライブ活動を行っている。自らが音楽制作会社スタッズプロダクションを立ち上げ、キングレコードよりCDをリリースしている。
グラビア活動においては「ミス東スポ2014」グランプリ、「ミスiD2017」を獲得。CX「佳代子の部屋」レギュラー出演や「アウト×デラックス」への出演で話題となる。趣味は麻雀。麻雀店での店舗ゲストとしても活動している。