OKWAVE Stars Vol.894は映画『歩けない僕らは』(2019年11月23日公開)と併映の『ガンバレとかうるせぇ』に出演の堀春菜さんへのインタビューをお送りします。
Q 『歩けない僕らは』出演についてどう感じましたか。
A堀春菜最初は佐藤快磨監督の新しい映画に『ガンバレとかうるせぇ』に主演した私と細川岳さんが戻ってくるということが嬉しくもあり、少しプレッシャーも感じました。脚本を読むと、佐藤監督の作品に出てくる人は何でこんなに不器用な人ばかりなんだろうと、そんな人間くささが好きだなあと思いました。理学療法士の仕事のことは知らなかったので、脚本を読んでからいろいろ調べました。
Q 役柄についてお聞かせください。
A堀春菜宇野愛海さん演じる主人公・遥の同僚の幸子役ですが、なぜこの作品に彼女の存在が必要なんだろうと俯瞰で考えました。きっと遥に何かの影響を与える役割があるのだろうと思って、遥との違いは何だろうという目線で作品に向き合いました。
Q 演じてみていかがでしたか。
A堀春菜幸子と遥が外で話すシーンがありますが、幸子は遥のことが同期として悔しくもあり羨ましい存在なんだろうなと感じました。遥のように一生懸命ぶつかっていける人が同期にいたら、そう感じてしまうのだろうなと思いました。遥の気持ちも幸子の気持ちも分かるし、どちらになるのかはタイミングだけなんだろうなと思います。幸子が決めたことは、逃げたり負けたりしたことではないし、だけど後ろめたさを感じるのもわかるし。ひとつひとつを選択していくしかないのだろうなと演じながら感じました。
Q 作品全体をどうご覧になりましたか。
A堀春菜先日のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の時に観ました。私は撮影の一部にしか関わっていなかったので、他のキャストの方のお芝居をスクリーンで観てすごい映画だと感じました。宇野さんや落合モトキさんの表情に、役とその役者の両面が見える瞬間が多々あって、佐藤監督はすごいなあと思いました。
Q 佐藤監督とはどんな話をしましたか。
A堀春菜今回はあまり役柄については話していないです。実は『ガンバレとかうるせぇ』の時も佐藤監督は細かく説明せずに「もう1回」と言うようなスタイルだったので、佐藤監督の現場では自分で考えることが大切なんだろうなと思います。
今回の撮影ではテイクを重ねることもなく進みました。撮影がすでに進んでいて、現場の空気ができあがっているところに入るのはあまりない経験だったので緊張もしましたが、やるしかないという気持ちで臨みました。
Q 2014年に発表された『ガンバレとかうるせぇ』について撮影当時のことをお聞かせください。
A堀春菜撮影は今から6年前で当時高校2年生でした。撮影の1週間前に主演での出演が決まったんです。「来週、秋田に来れますか」と佐藤監督に言われ、映画出演もカメラの前での演技もはじめてだったので、何もわからない状態で、何がわからないのかもわからないくらいの状態で撮影期間を過ごしました。でも、そうでなければできなかった表情が詰まっている70分間です。それが6年を経て劇場公開されてしまうのだから、映画はすごいなと思いました(笑)。
思い起こすと、ただただ追い込まれている自分がいたなと思います。役柄としても追い込まれていくので、ちょうどよかったと思います。今もし菜津役でキャスティングされたとしても同じようにはできない菜津がそこにいるので、少し嫉妬もしています(笑)。
Q 『ガンバレとかうるせぇ』の台本の印象はいかがだったでしょうか。
A堀春菜映画の脚本を読むのもはじめてだったので、映画の設計図としての読み方がわからなかったのが正直なところでした。撮影をしながら映画の全容をつかんでいったことを覚えています。相手役の細川岳さんや布袋涼太さんが菜津をムカつかせたりして作っていってくれたので、私はセリフだけは入っていたので、そんな皆さんに反応していくだけだったなと思います。
その菜津の役柄はプロデューサーの方から菜津が好きな曲というCDを渡されて、それを聴きながら菜津のモードみたいなものを作っていきました。
Q 本作を振り返って今だから思えることはありますか。
A堀春菜もう高校生には戻れないなと率直に思いました。高校の3年間は本当に貴重なものだと。私自身が高校2年生という大人でも子どもでもない微妙な時期に高校3年生の菜津役を演じることができたのはいい経験だったと思います。
Q タイトルのインパクトも強いです。
A堀春菜いいタイトルですよね。“うるせぇ”と思ってもそれしかかけられる言葉がなかったり、このタイトルがさらに作品を良くしていると思います。
Q 「ガンバレ」と言われることをご自分ではどう受け止めていますか。
A堀春菜「ガンバレ」は応援してくれるための言葉ですが、それがプレッシャーになってしまうこともあるし、だけど他にどういう言葉で声をかければいいのかわからなくて結局「ガンバレ」と言ってしまうということが自分でもわかってきたので、自分が言われる時には素直に受け取るようになりました。
Q 映画は物事のスピードが早まっている今の時代にあって、撮影した時期と公開される時期のタイムラグがあるものですが、そのような少し前の自分と向き合うのを役者としてはどう感じるものでしょうか。
A堀春菜こうして何年も公開されていなかった作品が公開されるのはすごく素敵なことだと思います。映画は観る時期によって自分の感想もすごく変わるものです。高校3年生の時に映画祭でかかって観た時の感想と、今22歳になってこれから劇場で観る感想はまた違うのだろうなと思うので、時を越えて上映できるのはすごくいいなと思います。上映が決まって、当時の友人やスタッフさんも喜んでくれるのに触れて、一瞬でその時代に戻れることができる実感もあります。正直なところちょっと恥ずかしさもありますが、やはり素敵なことだなと思います。
Q ご自身の今後の抱負などお聞かせください。
A堀春菜先日、台湾で台湾と韓国の方と一緒に舞台に立ちました。その時、自分のことも日本のことも世界のことも、もっといろいろなことを知りたいなと。役者である前にちゃんと人間として感じることを忘れずにいたいなと思いました。いろんな国や場所に行ってみたり、いろんな人と出会うことが役者の自分にも活きるかもしれませんので、今後の抱負はいろんな人と出会うことですね。
ちなみにこの台湾での舞台ではいくつかの演目を演じましたが、そのひとつはそれぞれの母国語で喋って盛り上がってください、という指示で、何を話しているかわからないけれど同時に笑ったり、言葉を超える瞬間があって、生まれた国も育ちもバラバラだけどみんな人間なんだと感じました。
Q 堀春菜さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A堀春菜『歩けない僕らは』は出てくるみんなが一生懸命で、誰かの選択が間違っているかどうかではなく、その一生懸命さから届く何かが感じられると思います。映画を観た後に食べるご飯が美味しく感じられたりちょっとした変化があると思うのでぜひそれを感じ取りに来てください。『ガンバレとかうるせぇ』は青春映画ですが、みんなが蓋をしたくなるような、思い出すと苦しくなるようなあの時期ならではの不器用さが描かれています。いまだと器用にできたりうまく生きる術を身につけているかもしれませんが、あの頃の不器用にがむしゃらにやるしかない、という物が詰まった70分間ですので、この作品を観ることで思い出すことがあるんじゃないかと思います。
Q堀春菜さんからOKWAVEユーザーに質問!
堀春菜『歩けない僕ら』も『ガンバレとかうるせぇ』も、良かれと思ってかけた言葉が相手にはプレッシャーになってしまったり、何気ない一言が救いになることがある、ということが共通しています。
質問は、誰かに言われて大切なものになっている言葉があったらお聞かせください。
私は、「春菜は下手なままでいい」と言われたことがあります。『ガンバレとかうるせぇ』の時はうまく演じようという気持ち以前でした。いまは演技の技術的にうまくできるんじゃないかと気づいてしまうこともありますが、それだけにならないように感じたものを感じたまま出せるようにもしていたいと思っています。
■Information
『歩けない僕らは』
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭
国内コンペティション部門 短編部門 観客賞受賞作品
2019年11月23日(土)より新宿K’s cinemaにて公開他全国順次
宮下遥は、回復期リハビリテーション病院1年目の理学療法士。まだ慣れない仕事に戸惑いつつも、同期の幸子に、彼氏・翔の愚痴などを聞いてもらっては、共に励まし合い頑張っている。担当していたタエが退院し、新しい患者が入院してくる。仕事からの帰宅途中に脳卒中を発症し、左半身が不随になった柘植。遥は初めて入院から退院までを担当することになる。「元の人生には戻れますかね?」と聞く柘植に、何も答えられない遥。日野課長と田口リーダーの指導の元、現実と向き合う日々が始まる。
出演:宇野愛海 落合モトキ
板橋駿谷 堀春菜 細川岳 門田宗大
山中聡 佐々木すみ江
監督・脚本・編集:佐藤快磨
配給・宣伝:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES
公式サイト:aruboku.net
©映画『歩けない僕らは』
■併映映画『ガンバレとかうるせぇ』
PFFアワード2014 映画ファン賞受賞
PFFアワード2014 観客賞受賞
釜山国際映画祭 ニューカレンツ・コンペティション部門 正式出品作品
試合に勝っても褒められず、負けて責められることもない、そんな存在。
山王高校サッカー部の3年生マネージャー・菜津は、夏の大会に敗退したタイミングでマネージャーは引退するのが通例のなか、冬の選手権まで残ることを宣言する。しかし、顧問からも部員からも必要とされていないことに気づいてしまう。
一方、キャプテンの豪は、チームの要である健吾に夏での引退を切り出され、チームメートからの信頼の薄さも浮き彫りになっていく。
刻々と近づく最後の大会を前に、菜津と豪は選択を迫られる。
監督・脚本・編集:佐藤快磨
出演:堀 春菜、細川 岳、布袋涼太、柳沼 侃、江國亮介、山城ショウゴ、石上真紀子、ミョンジュ
配給:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES
■Profile
堀春菜
1997年3月17日生まれ、神奈川県出身。
映画『ガンバレとかうるせぇ』(14)主演でデビュー。主な出演作に、映画『空(カラ)の味』(16)、『セブンティーン、北杜 夏』(17)、『過ぎて行け、延滞10代』(17)、『万引き家族』(18)、日韓合作映画『大観覧車』(18)、NHKBS「あったまるユートピア」(18)、映画『カランコエの花』(18)、『21世紀の女の子』(19)、『浜辺のゲーム』(19)等。2019年8月には舞台「EATI 2019 in Taipei@台湾・國家戲劇院[実験劇場]」に参加するなど海外にも活動の場を拡げる。
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