Vol.899 俳優 安西慎太郎、小早川俊輔(「明治座の変 麒麟にの・る」について)

安西慎太郎、小早川俊輔(「明治座の変 麒麟にの・る」)

OKWAVE Stars Vol.899は「明治座の変 麒麟にの・る」(2019年12月28日~31日)に主演の安西慎太郎さんと共演の小早川俊輔さんへのインタビューをお送りします。

Q まずはこの“祭”シリーズへの出演についてのご感想をお聞かせください。

A安西慎太郎僕は2年ぶりになります。主演として帰ってこられたことに幸せな気持ちです。だからと言って、前回とはメンバーも演出家も違います。年末のシリーズというパッケージはありますが、何かを更新していかなければならないという思いがあります。

小早川俊輔僕は昨年に続いて2回目です。新しい元号になった年末にまた明治座の舞台に立てることを嬉しく思います。「麒麟にの・る」というタイトルを聞いて「攻めてるな」と感じました。今年1年の目標は乗馬を始めることだったのですが、その前に麒麟に乗れるのかなと期待してしまいましたね。

Q 題材の“本能寺の変”について思うところや台本の印象をお聞かせください。

A安西慎太郎この“祭”シリーズは毎回、史実をしっかり捉えています。“本能寺の変”に関しても織田信長や明智光秀にまつわるいろんな史実がありますが、それを忠実に描きながらトンデモ設定になっているのがこのシリーズの見どころですし、僕自身、この赤澤ムックさんのオリジナル台本を面白く読めました。
今回はいつもよりも人数が少ないこともあり、その分、ひとりひとりの関係性もより濃いですし、女性キャストが入ることで、恋模様もあります。それによって、バランスの良い印象を受けました。その分、年末シリーズ恒例のおじさんたちが自由に演じる時間が台本上にはなかったので、そのバランスがどうなっていくのだろうと思いました。自分の役に関しては、今までのシリーズの主役はお客様に好かれる人物でしたが、今回僕が演じる織田信長はむしろ嫌われていくことで作品が愛されていくだろうなと感じました。台本を読んで、そんな役作りをしていこうと思っています。

小早川俊輔僕が学生の時には“本能寺の変”は明智光秀の裏切りだと習いました。僕は関ヶ原の戦いで東軍に寝返ったとされる小早川秀秋と苗字が一緒というだけでイジられた経験があるので、いま残っている歴史だけを信じるのはどうなんだろうと常々思っていましたね(笑)。
演劇的には二重、三重構造になっていて、その謎が紐解かれていくところがすごいなと読んでいて感じました。歴史上の人物は知らない名前もあるので、この機会に学べるのもいいなと思いました。

Q 役柄についてお聞かせください。

A安西慎太郎今回演じる信長は「こんな人、そばにいてほしくない」という典型的な人物です。身近にいたら面倒くさいだろうなと思いつつも、本当はかわいそうな人なのかもとも思います。そう思う向こう側に愛らしさが見えてくるのかなと。基本的には嫌われるけれど、その隙間から見える、何かに飢えている感じや孤独な面が見えたらいいなと思います。

小早川俊輔僕が演じる柴田勝家、“柴勝の兄貴”はとても義に厚い人物で、だからこそ真っ直ぐな彼ならではの葛藤もあるのだろうなと。面白い筋の部分を担わせていただけるんじゃないかなと思いますし、その愚直さに惚れずにはいられない男だと思います。ぜひ柴勝に惚れて年を越していただけたらと思っています。

Q 共演者の方々の印象についてお聞かせください。

A安西慎太郎僕は共演したことのある方と初共演の方が半々です。若手チームはそれぞれが“害を与えない”ユニークさを持っているので、それが作品にいい形でくっついてくれる印象です。年上の皆さんはみんな面白いので、安心しています。

小早川俊輔昨年一緒に作り上げた方々や、他の現場で会った方、初めての方もいらっしゃいますが、いろんな分野の方が出演されているのが魅力的だと感じています。その中で埋もれずに息ができるようにしていきたいです。

安西慎太郎今回W主演の平野良さんとは初共演で、お互いに「僕たちだけではなくキャスト全員でがんばっていこう」といった話をしました。

小早川俊輔僕は平野さんとは初共演なので楽しみです。

Q どんな準備をして稽古に入りますか。

A安西慎太郎このシリーズは本読みから勝負だと思っています。本読みの一回目が作品を左右するくらい、自分の位置をみんなが探ってくるイメージがあるので、その段階までに一人でいかに役を作り上げられるかだと思います。そこからはいかに柔軟に作品に入っていけるかなので、まず一人で考え抜く作業が大事だと思っています。

小早川俊輔僕は台本を何度も読みます。というのは、このシリーズはある歴史に則っていて、そこから外れたところに面白みがあるので、シーンごとの目的のようなところを熟知していくことで、稽古に入った時に皆さんと一緒に柔軟に作っていけるのだろうなと思っています。

Q 稽古中はどんなコミュニケーションを取るものでしょうか。

A安西慎太郎今までは板垣恭一さん、少年社中の毛利亘宏さんが演出されてきましたが、今回は原田優一さんの演出です。それによって今までの作品作りやコミュニケーションの取り方とも変わってくるので、コミュニケーションは大切ですし、役者ひとりひとりが楽しみにしているところだとも思います。原田さんはとんでもなく歌えて、とんでもなく面白い方ですが、演出を受けるのは初めてなので、それも楽しみです。原田さんがどういう目で作品を持っていくのか、きっとお客様も気になっているところだと思います。

小早川俊輔前回はいろんなチームがあって稽古スケジュールもその組み合わせで進むところがあったので、稽古序盤にはほとんど顔を合わせない方もいらっしゃいました。前回は初めてだったので、自分と共演シーンの多い方とのコミュニケーションは密でしたが、今回は芝居を合わせる機会が少ない方ともコミュニケーションを取っていきたいなと思っています。

Q どんなことを大事に演じたいですか。

A安西慎太郎その場所にいるということです。今回であれば織田信長がそこにいるというところを見せられればと思います。それとセリフではなく僕が演じる織田信長の言葉としてお客様に届けるということを大切にしたいです。

小早川俊輔安西さんが仰ったように、その場所にいる、そのシーンに立っている共演者との関係を作っていくことが大切だと思います。そのためにも稽古が大事ですし、しっかり詰められれば本番も楽しめるんじゃないかと思います。そこに至るまでの一回一回の稽古を大切にしていきたいです。

Q 共演者と芝居を合わせることで感じることはありますか。

A安西慎太郎会話をしながらもお互いにカメラのようなもので俯瞰して全体を見ているような感覚はいつも持っています。

小早川俊輔稽古期間も限られていますので、自分の役が相手の役から何をキャッチできるのか、自分が何をあげられるのかが役を生きる上で大事なことなので、自分に嘘をつかずにいられるかということが大切だと思います。なので、自分の中にあることをないことにするのではなく、自分の中にあるものをどう使うかが大事なんだろうなと思います。役を背負いながら関わり合うのは楽しいです。

Q この作品で一番見せたいことをお聞かせください。

A安西慎太郎ひとつは年末ということで、お客様が1年過ごしてきた中で悪いものを流していいものが残るデトックスのような作品になればいいなと思っています。もうひとつ、この“祭”シリーズのいいところですが、史実をちゃんと描きながらトンデモ設定にすることで、この歴史の世界を身近に感じてもらえることです。楽しんでいる中にもその作品の可能性を上げられる、今回で言えば、信長はこうだ、という概念を超えた何かをお客様に届けたいと思います。

小早川俊輔戦国時代の物語なので、生死が関わっていますし、今の自分にとっては非現実的なことです。だからこそ目の前で起きていることが心に刺さるように、自分の役に責任を持って作品を作っていきたいです。

Q 第二部についての意気込みをお聞かせください。

A安西慎太郎第一部に出演していた役者たちがそれぞれ、一生懸命、某何々をリスペクトして、オマージュを行う60分です。気持ちは意外と切り替わらないです。ショーだからと言って気が緩むようなことはなく、むしろ上乗せで見せていきます。

小早川俊輔前回は司会というポジションだったので、今回はユニットとして参加できるので楽しみにしています。

Q OKWAVEユーザーにメッセージ!

A安西慎太郎「麒麟にの・る」というタイトルも何かに似ていると思うし、第二部もパロディですが、制作のる・ひまわりさんが毎年挑戦している“祭”シリーズなので、僕たち役者も心動かす面白いものが詰まった4時間をお届けしますので、ぜひ明治座に来ていただけたらと思います。

小早川俊輔またこうして年末にボリュームのある作品を明治座で皆さんにお届けできるのが嬉しいです。第一部は自分の役に責任を持って、第二部はユニットとしては初めてなので、僕自身楽しんで皆さんと一緒に年越しをできたらと思います。

Q安西慎太郎さん、小早川俊輔さんからOKWAVEユーザーに質問!

安西慎太郎僕らにやってほしい役、どうでしょう。

小早川俊輔いいですね!(即答)

安西慎太郎つまんないか。じゃあ変えます(笑)。僕らが役者以外でこの職業をやってほしいというのがあったらお聞かせください。

小早川俊輔僕からは、海外で写真集を撮るなら、どこで撮ってほしいですか?ちなみに、今のところ予定はありません(笑)。

回答する


本作に出演予定だった滝口幸広さんが11月13日に逝去されました。ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。
本インタビューは滝口さんの生前に実施しており、安西さんからは「滝口さんとの“祭”シリーズでの絡みは意外になかったので、今回は楽しいシーンから心が苦しくなるような深いシーンまで関われるので、いつもこのシリーズではぶっ飛んだ役作りをしてくる滝口さんが、長政の人柄が出る場面をどう演じていくのか楽しみです。」と仰られていたことを記事として残させていただきます。

OKWAVE Stars編集部


■Information

「明治座の変 麒麟にの・る」

「明治座の変 麒麟にの・る」2019年12月28日(土)~31日(火)明治座

脚本:赤澤ムック
演出:原田優一
出演:平野良、安西慎太郎 / 神永圭佑、木ノ本嶺浩、大山真志 / 井阪郁巳、松田岳、小早川俊輔、吉村駿作、土屋神葉 / 林剛史、谷戸亮太、川隅美慎、二瓶拓也、井深克彦、中村龍介 / 加藤啓、内藤大希 ※Wキャスト、原田優一 ※Wキャスト、椿鬼奴 / 辻本祐樹 / 粟根まこと / 凰稀かなめ ※特別出演
第2部総合司会:三上真史

日替わりゲスト:
12月28日(土)昼:多和田任益 / 夜:佐藤貴史
12月29日(日)昼夜:佐奈宏紀
12月30日(月)昼:永田崇人、永田聖一朗 / 夜:杉江大志、近藤頌利
12月31日(火)昼:山崎大輝 / 夜:内藤大希

チケット料金:S席13,000円、A席5,800円(税込/全席指定)
カウントダウン公演のみS席13,500円

https://le-hen.jp/


■Profile

安西慎太郎、小早川俊輔(「明治座の変 麒麟にの・る」)

安西慎太郎

1993年12月16日生まれ、神奈川県出身。
舞台をはじめ役者として活躍中。

https://ameblo.jp/anzaishintaro/
https://twitter.com/anzaistaff


小早川俊輔

1993年10月12日生まれ、大阪府出身。
舞台、TVドラマなどに活躍中。

https://kobayakawa-shunsuke.com/
https://twitter.com/kbykw_shnsk