OKWAVE Stars Vol.919はこまつ座『きらめく星座』(2020年3月5日〜)に出演の高橋光臣さんと瀬戸さおりさんへのインタビューをお送りします。
Q 本作出演についての所感をお聞かせください。
A高橋光臣前回の公演を観させていただいて、出られる機会があればやってみたいという気持ちでいたので、お話をいただいて嬉しかったです。台本を読むと、大変な作品に出会ってしまった、という気持ちが大きいです。観劇した時には分からなかった井上ひさしさんが書かれた当時に思いを馳せると、ゾクッとするものが隠されていて、それを笑いで包み隠すように描かれていることに気づかされます。そう思うと気持ちが沈み込んでしまうので、どう引っ張り上げて正一にしていくかが大変な作業です。とはいえ、素敵な戯曲に出会えたなという気持ちです。
瀬戸さおり何度も再演されていますし、戯曲を読んでも素敵な作品なので、出演できると聞いた時は嬉しかったです。皆さんが期待している作品なのでプレッシャーも感じています。笑いと音楽があふれていて、それを作っていく過程もすごく楽しいので、毎日ワクワクしていますし、新しい発見があります。戦争を経験していない世代の私からすると、暗い時代の中で落ち込んでしまいがちなのに、こんなに笑いがあったのかということもそうです。戯曲を読んで衝撃を受けましたし、知らなかったことを知ることができるのも嬉しいです。想像を大きく超えている作品なので、今はとにかく楽しいです。
Q オデオン堂の一員の役作りをどのように進めていますか。
A高橋光臣正一は明るい人という印象です。事あるごとに家に帰ってきて、家族を一つにする軸のような人物です。最初はどう明るく演じようかと考えていましたが、戯曲を読んでいるとどんどん暗い時代になっていくので僕自身は落ち込んでしまうんです。正一を知れば知るほど、暗い方向に行ってしまうのですが、栗山さんが見たい表現ということもそうですし、それを明るい方向にもっていければ正一になれるだろう、ということが見えてきました。そんな正一の明るい部分にアプローチしています。
瀬戸さおり私は関係性や距離感を大事にしています。兄さんの正一やお父さんとは血がつながっていますが、お母さんのふじさんとは血がつながっていないので、そのちょっとした距離感や気まずさを栗山さんに問われています。お父さんとふじさんとでは違う、その微妙な距離感が出せたらまたひとつオデオン堂の空気感ができてくるだろうなと思います。また、最後には居候の竹田さんや、森本さん、権藤さんが入ってきて歌を歌うシーンがありますが、距離感のあるところからどう詰めていくのかを作っているところです。
それと、兄さんが帰ってきて会うのは久しぶりという設定なんですが、どれだけ長い間一緒にいられなかったかという時間をしっかり作らなければならないのも、取り組んでいるところです。
高橋光臣そうなんです。4ヶ月ぶりに会うという設定ですが、今の僕らの4ヶ月と当時の4ヶ月は時間の流れ方もぜんぜん違うと思います。それにこの舞台の時間軸で正一は4回くらいオデオン堂に帰ってくる設定なので、毎回久しぶりに帰ってきているのに、「さっきまで舞台にいたよね」となってしまうので、その距離感の感覚の広げ方はなかなか難しいです。
Q 当時の流行歌も見どころですね。
A高橋光臣「音楽は活力の源です」という正一のセリフがあります。学生時代に僕はスポーツをずっとやってきて、試合前に好きな音楽を聴いて気持ちを高めていたこともあり、自分の人生の節目の思い出として強烈に残っている音楽があります。舞台上で歌うのは初めてなので、パニックにもなっていますが、楽しんでいます。
瀬戸さおり私も舞台で歌うのは初めてですが、歌があるだけで稽古場も温かくなります。どの歌も色あせていないというか、すごく新鮮な感じで聞こえてきて、気づいたら口ずさんでいるし、メロディが頭から離れないです。それに歌詞も素敵なんです。初めて聴く音楽でしたが、こんなに素敵なものがあったのかと驚いています。音楽はその時の気持ちや体調によっても聞こえ方や意味が変わってきますし、その時に聴いていた音楽が流れてくると、懐かしさもよみがえってきます。オデオン堂のみんなも音楽でつながっているというか、人と人がつながるのも音楽だし、一体感が生まれるのも音楽だと思います。音楽は今も昔も変わらず大切なものなんだなあと思います。
Q 歌の場面はどんな演出なのでしょう。
A高橋光臣正一が歌い始めたら、みんなも加わって歌いだす曲が。
瀬戸さおり兄さんの歌がみんな大好きなので、それを聴いて私たちも段々と歌いたくなる、という気持ちですね。兄さんやふじさんが歌い出して、みさをは最初は「歌っていいの」という戸惑いもあるんですが、やっぱり歌が好きで、みんなと同じ空間にいるのが楽しくて、段々と影響を受けながら歌の楽しさの気持ちが盛り上がってくるような感じです。
Q ほかの共演者の方々とのお芝居や稽古の雰囲気はいかがですか。
A高橋光臣久保酎吉さんを中心に先日も親睦会があって、楽しく過ごさせていただいています。先輩方が多いので安心して自分の芝居に集中できますし、先輩方がさらに突き詰めてやっているので、一緒にできるレベルに早く持っていかなればという気持ちが強いです。
瀬戸さおり今回、新しいキャストの方が多いので、みんないろんなことに挑戦しようという気持ちでいて、私もいろいろ試しています。それで失敗したらどうしようと思わせないくらいみんなが温かい雰囲気でいてくださるので本気でぶつかれています。そこで新しく見つけられるものがたくさんあります。ちょっとした目線であるとか、先輩方が毎日少しずつ違うことをしているのも刺激になって、いろいろ試しながらだんだんと仕上がっていっている感じがします。
Q どんなところを一番観てほしいですか。
A高橋光臣観ていただく方の年齢層によっても受け取り方は違うのだろうなと思います。年配の方は当時のリアルな描写や音楽に懐かしい気持ちになるだろうし、若い人が観たらゾッとするような瞬間もあるし、もしかしたらそれは掴みきれないかもしれません。僕としては同世代や若い世代の皆さんがセリフから当時の映像のようなものが頭の中に広がってくれれば何か受け取ることができるんじゃないかと思います。それはとても難しいことですが、自分がそこに到達できるようにしたいです。とても楽しく観ることができる作品なので、じんわりと何かを感じていただけたらと思います。
瀬戸さおり私も若い方たちが観て感じていただける作品だと思っています。普通の日常がなぜ送れなかったのか、という「なぜ」を考えるきっかけになってくれればいいなと思います。
Q OKWAVEユーザーにメッセージ!
A高橋光臣今の日本の人たちは本当の戦争というものから意識が乖離していると思うので、この作品から戦争というものに対する気持ちを持っていただけたらと思います。戦争の悲惨さや繰り返してはいけないことを感じてもらえたらいいなと思います。
瀬戸さおり私の演じるみさをはいろんなことを学んで大人になっていくので、そういう変化を感じたり、なぜこうなってしまったのか、とか学ぶということに対してきっかけになればいいなと思います。
Q高橋光臣さん、瀬戸さおりさんからOKWAVEユーザーに質問!
高橋光臣この作品では食べ物も主題の一つです。皆さんがそれこそ飢餓状態のような本当にお腹が空いた時に食べたいものは何ですか。
瀬戸さおりこれで聴き納めという最後に聴きたい音楽は何ですか。
■Information
『きらめく星座』
2020年3月5日(木)〜15日(日)紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
迫りくる軍歌の音。遠ざかる敵性音楽(ジャズ)。
忍び寄る戦争の影―
暗闇の中で光を求めもがくのは、
いつの時代も”きらめく庶民たち”だった。
戦後75年の今が”戦前”にならぬよう祈りを込めて…。
時代を彩った『月光値千金』・『燦めく星座』・
『一杯のコーヒーから』・『青空』などの流行歌と共に、
魅力溢れるキャスト陣を迎え、
名匠・栗山民也の手により堂々の上演。
井上ひさし 作
栗山民也 演出
松岡依都美 久保酎吉 高橋光臣 粟野史浩 瀬戸さおり
後藤浩明 髙倉直人 村岡哲至 木村靖司 大鷹明良
入場料(全席指定・税込み)8,500円
U-30(観劇時30歳以下)5,500円
高校生以下(こまつ座のみ取り扱い)3,000円
こまつ座オンラインチケット:http://www.komatsuza.co.jp/
<スペシャルトークショー>
3月8日(日)13:00公演後:松岡依都美、久保酎吉、後藤浩明、木村靖司
3月13日(金)13:00公演後:高橋光臣、粟野史浩、瀬戸さおり、大高明慶
※スペシャルトークショーは開催日以外の本公演チケットをお持ちの方は入場可能。ただし、満席になり次第入場を締め切る場合あり。
※出演者は都合により変更の場合あり。
■Profile
高橋光臣
1982年3月10日生まれ、大阪府出身。
俳優としてドラマや演劇など幅広く活躍中。
https://ssl.saito-room.com/mitsuomi-takahashi.html
https://www.instagram.com/mituomitakahashi_official/
瀬戸さおり
1989年9月19日生まれ、福岡県出身。
女優として舞台、映画など幅広く活躍中。
https://www.watanabepro.co.jp/mypage/20000014/
https://twitter.com/saori_seto0919
https://www.instagram.com/saori_seto0919/