OKWAVE Stars Vol.922はWOWOWの「連続ドラマW パレートの誤算 ～ケースワーカー殺人事件」（2020年3月7日〜）主演の橋本愛さんへのインタビューをお送りします。
Q このドラマのタイトルにも含まれる「パレートの法則」いわゆる2：8の法則について、以前からご自身でも気づいていたとのことですね。
A橋本愛そう考えると楽だなと思ったのが入り口です。全員が同じ方向を向いてものづくりをできるか、とか、自分のことを世の中の全員に理解してもらえるのか、といったことを2:8に分けた時に、自分を肯定してくれる人が2割しかいなくても良いのでは、という視点が得られました。もっと単純にクイズ番組を見ていて、2:8で考えたらこれかなと思って正解だったこともあったので（笑）、自分の中のこの法則への確信が段々とできていたので、このドラマの企画書を読んでびっくりしました。パレートの法則には経済や仕事の視点もあってディティールの違いはありますが、その数字の法則があったから、やるしかないと飛び込んだのがこの作品に出演することを決めた理由です。いつもなら、原作や脚本をしっかり読んでどうするかを決めることが多いので、今回はその企画書の一文で決めたので、未知の部分の不安もありました。ですが撮影を終えて自分の判断は間違ってなかったと思います。
Q 台本を読まれてどう感じましたか。
A橋本愛最初に読んだ時はエンターテインメント的なスピード感があって面白く感じました。原作を読んでみると結構違うところもあるんです。原作者へのリスペクトや原作の本質を見失わないことを前提に、監督やスタッフの思想や哲学がちゃんと落とし込まれていて、ものを作る人のパッションがちゃんと入っている。ある種のオリジナル作品のようにも感じられました。
Q 聡美役を演じる上でどんな準備をしましたか。
A橋本愛ケースワーカーの仕事について学ぶこともそうですが、聡美は自分の先輩がなぜ死ななければならなかったのかを突き止めるために身の危険も顧みずに突き進んでいきます。その力の源を掘り下げていくことに一番時間をかけました。聡美の中にある、日本や町に対しての怒りの感情が鮮明に見えてきた時に、それは私の中にもあるものだとつながったので、現場で聡美として動きやすくなりました。作品によっては細かく詰め切らなければ演じられないものもありますが、この作品では力を抜いてもちゃんと動けているという実感があったので良かったです。
聡美はとても強くて生命力にあふれています。自分もすごく勇気や力をもらえて、聡美として生きている時間がとても楽しかったです。この作品を観た人にとっても聡美がそういう存在となって心に残ればいいなと思います。
Q 共演者とのお芝居で印象的だったことなどはありますか。
A橋本愛以前に松本まりかさんのお芝居を観て衝撃を受けたのと、インタビューを読んで勇気をもらったことがあるんです。今回ご一緒できると聞いてすごく嬉しかったです。一対一のお芝居をする場面もあって、一人では到達できないところにお互いに演じ合うことでたどり着けたのがすごく嬉しくて、ずっと一緒にお芝居していたいと思いました。
Q 作品を通じて福祉や社会に対して感じることや、新しい気づきなどはありましたか。
A橋本愛私は自分の専門分野に対しては諦めることはしませんが、社会に対しては諦めの気持ちが強くなっていたなと感じました。聡美を演じたことでそれではだめだと、一からぶつかってみようという気持ちにもなりました。
ミステリーというジャンルには苦手意識を持っていました。謎を追うだけの作品にはしたくないという不安があったのですが、この作品はすごく人間を描いているし、ミステリーではあるけれど社会を描いているので、すごく意義がある作品だと思います。ミステリーは演じていてすごく頭を使うんだなあと感じました。
Q 聡美はケースワーカーの仕事に段々と光を見出していきます。橋本さんご自身は女優として生きていく感覚はいつ頃から持っていましたか。
A橋本愛成人する前くらいまではいつまで女優を続けているかを考えてはいなかったです。今はおばあちゃんになっても女優を続けている未来が見られるようになりました。女優の仕事に魅力を感じるようになって、この仕事だからできることが年々広がっていっている感覚があります。『グッドバイ～嘘からはじまる人生喜劇～』という2月に公開された映画は一昨年に撮影をしましたが、成島出監督との出会いが大きな財産になっています。教えていただいたことがたくさんあって、女優という仕事やものをつくる仕事の意義を頭だけではなく心から感じて動けるようになりました。
■Information
「連続ドラマW パレートの誤算 ～ケースワーカー殺人事件」
WOWOWにて2020年3月7日（土）22:00放送開始（全5話）［第1話無料放送］
不本意ながら、嘱託という形で市役所の社会福祉課に勤める牧野聡美は、ある日突然、生活保護利用者と直接向き合うケースワーカーの仕事を命じられる。不安を抱く聡美に、ベテランの山川は「やりがいのある仕事だ」と励ます。同僚の小野寺淳一とともに、迷いを抱えながら多くの利用者たちと向き合っていく聡美。ところが後日、その山川が、あるアパートの火事の跡で、他殺体となって発見される。あれほど利用者から慕われていた山川がなぜ？周囲で、山川がなんらかの不正に関わっていたのではないかという疑念が膨らんでいく中、聡美と小野寺は、町を覆う不正の影と生活保護をめぐるさまざまな人生模様に巻き込まれていく。
出演：橋本愛 増田貴久 北村有起哉 ・ 松本まりか 尾美としのり
原作：柚月裕子「パレートの誤算」（祥伝社文庫刊）
監督：小林聖太郎（『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』「連続ドラマW 煙霞 -Gold Rush-」）
https://www.wowow.co.jp/drama/original/pareto/
■Profile
橋本愛
1996年1月12日生まれ、熊本県出身。
2010年デビュー。女優としてドラマや映画などに活躍中。
https://www.instagram.com/ai__hashimoto/?hl=ja
ヘア：YUUK（W）
メイク：Naomi Nishida （KiKi inc.）
スタイリスト：Saeko Sugai