OKWAVE Stars Vol.924は映画『星屑の町』(公開中)に出演の小宮孝泰さん、渡辺哲さん、でんでんさん、有薗芳記さん、菅原大吉さんへの座談会インタビューをお送りします。
Q 今回の映画化についてのご感想は。
A小宮孝泰映画化の話は初演から数年後に一度あったんです。でもその話はなくなって、舞台は7作シリーズとして続きました。そうしたら、2年くらい前にのんちゃんをヒロインに迎えて映画化しないかという話が来て、「今度はどうなの?」と言っていたら、昨年決まったのでその時はうれしかったですね。
菅原大吉直前まで本当にあるの、という感じでしたね。
小宮孝泰当初の予定が少し後になったからね。
でんでんその分、俺たちも味わいが出たんじゃないかな(笑)。
有薗芳記味出しすぎだよ、25年なんて(笑)。
渡辺哲こういうコーラスグループの映画ができるのは珍しいからよかったよね。
小宮孝泰25年前の僕らだったら案外普通だったと思うので、今だからお年を召した方にも希望を与えられる映画にできたんじゃないかと思います。
Q のんさんをヒロインに迎えて、いかがでしたか。
A渡辺哲やっぱり、かわいいよね。年齢的にも娘みたいな感じだし。
有薗芳記孫娘だよ(笑)。現場でもかわいかったね。
渡辺哲みんなで見守って、俺たちも応援している感じが出ているんじゃないかと。でも、歌はワイルドでなかなかいいですよ。「新宿の女」なんかは結構格好いいです。
Q 長年このシリーズを演じてこられた皆さんからのんさんに何か伝えたりはされましたか。
A小宮孝泰役者が相手役にそういう話をするのは基本的にはやってはいけないことなので、僕らが何か「こういうふうに」ということはなかったです。お互いのアイディアを相談することはありますが、他は起きたことに対して素直にリアクションすることです。
有薗芳記監督からも現場ではとくに指示してなかったよね。
小宮孝泰もともと、でんでんさんとは朝ドラで共演しているし、そういうつながりもあると思います。のんちゃんが、愛役と同じように僕らの人生を変えてくれるかもしれないです(笑)。
Q この映画の中で好きな歌は何でしょう。
A渡辺哲「宗右衛門町ブルース」かな。
小宮孝泰今回の新曲の「シャボン玉」もいいですよ。
有薗芳記俺は「MISS YOU」かな。今回歌ってないけど「星屑の町」もいいけど。
小宮孝泰「MISS YOU」は僕と石井くんの知人の放送作家の木崎徹さんという方が舞台を観に来てくれて「懐かしい感じがする」と言ってくれて、“周回遅れのトップランナー”というキャッチフレーズを付けてくれたんです。それで僕らのオリジナル楽曲をリリースしようということになって、ひとつは懐かしい感じのムード歌謡コーラスを、もうひとつは新しめの楽曲をということで生まれたのがこの「MISS YOU」です。木崎さんが僕らのことを当て書きで歌詞も書いてくれました(※苦楽健人名義)。この「MISS YOU」は「星屑の町」「ミドラー ~あるサラリーマンの決断~」の3曲入りでCDリリースされました。これも僕らの出会いの中で生まれた楽曲ですね。
有薗芳記発売当時には宣伝でバラエティ番組に出たりもしたよね。
でんでんこの映画もヒットしたら出られるかな(笑)。どうせなら紅白歌合戦にも出たいな。
Q 撮影エピソードについてお聞かせください。
Aでんでん置き去りにされた話かな。
小宮孝泰早朝ロケが多くて、新宿駅前に朝5時半集合とかだったんです。ある時、僕とでんでんさん、哲さんが集合場所に揃って、1時間待っていても迎えが来ないんです。マネージャーに電話をしたら「迎えに行くのを忘れてました」って。「タクシーで行っていいのかなあ」なんて言いながら向かったんですよ。
でんでん置き去りにされて、現場が動いていたらすごいよな。
小宮孝泰さすがにそれはなかったですよ(笑)。
芝居では、みんな言い慣れているセリフだから、現場ではまったく苦労しませんでした。
渡辺哲苦労はなかったね。置き去りはともかく、誰かが遅刻することもなかったし。
有薗芳記楽屋のシーンのセリフは舞台と変わってないんですよ。みんな覚えているもんね。
小宮孝泰だからみんな、どんなに長いワンシーンでも台本を持ってなかったんですよ。普通だったら、6ページあるワンシーンなんてできないです。なのに、居酒屋のシーンのような初めて演じるところでは1ページもないのにみんなNGを出しまくって、さすがに監督も呆れてました(笑)。新しいセリフにベテランのみんながガチガチになっていて。
渡辺哲飲みながら、食べながらのシーンでね。
有薗芳記そこまではセリフを噛んでNGなんて1つもなかったのに。
小宮孝泰僕らだけじゃなく、戸田恵子さんまで同じ様になっていて面白かったよね。
Q 今回の映画ならではの発見はありましたか。
A渡辺哲こういう昔ながらのお芝居がかえって新しく感じるかもしれませんね。昔のハリウッド映画のような感じもするし、奇をてらった感じがしないのが、意外と斬新な気がします。これが映画本来のあり方じゃないかなとも思います。
小宮孝泰舞台で喜劇をやる時は生で反応が返ってくるので、むしろ怖くないんです。映画だとどこでお客さんが笑ってくれるのか気になりますね。お芝居を映画だから変えたということではないんですけど。
菅原大吉僕は舞台にはなかった親子関係だったり、新しい要素が結構あります。舞台では僕が映画でのんちゃんが演じている歌手志望の女の子に片思いしてたんですよ。だから、今回は息子役の小日向星一くん、ママさん役の相築あきこさんとの新しい芝居も楽しかったし、これまで演じてきてよかったなとも思いました。
小宮孝泰今度は息子のためにハローナイツのところに愛を行かせないようにじゃまをするんですね。
でんでんその話に出てくるお祖父さんが柄本明さんというのもいいよね。舞台も観に来てくれていたから。
小宮孝泰喜劇の先輩方にもたくさん観ていただいたし、三木のり平先生には飲み屋で朝3時までダメ出しされたり(笑)。原作・脚本の水谷さんも監督もこのテイストが好きで映画にも残っています。この映画のいいところはコーラスグループが地方を巡業する際に、その地方の有名ではないけど良い景色が描かれるので、ぜひシリーズ化されてほしいです。
でんでんシリーズ化されるなら、年2本は撮らないとな(笑)。
Q 25年の歴史が詰まった映画化ですが、初演の頃の思い出はいかがでしょう。
A小宮孝泰初演の下北沢ザ・スズナリで、お客さんが来すぎてすごかったですよ。150人くらいの会場で初日は50人くらいだったのが1週間上演して最終日には入りきれないくらいになっていて。まだSNSのない時代の口コミです。
渡辺哲舞台は大きな机が一つあるだけで、僕は真ん中に座ってそこから立たないんです。千秋楽に平田満さんが一番前のど真ん中で観てくださっていて、ずっと目が合っちゃうんですよ。
小宮孝泰お客さんがあふれてそれこそステージに乗ってましたからね。
でんでんそれが縁なのか平田さんは2作目に出てるもんね。予行演習みたいなもんだ。
小宮孝泰いかりや長介さんが一番真ん中の席で観てたのも覚えてますよ。さんまさんや前川清さんも観に来たので客席も豪華でした。戸田恵子さんも最初はお客さんでしたし。
有薗芳記出たいと言ってくれる人が多かったよね。
Q 舞台は7作目で“完結”を迎えましたが、その時のお気持ちはいかがだったのでしょう。
Aでんでん誰もそんなふうに思ってないから(笑)。
小宮孝泰2016年の7作目は久しぶりだったから、しっかりとした台本がいいなと思っていました。水谷さんは滅多に僕らに相談しないけど、僕と菅原くんと3人で結構話し合いました。
菅原大吉あれは飲み会ではなくて打ち合わせだったっけ(笑)。
有薗芳記完結というのは途中から水谷さんが言い出したんだよ。次は10年後とも言っていたけど(笑)。
Q 昭和ムード歌謡のグループというところから、“昭和”をどう捉えていますか。
A菅原大吉昭和の作品は男は男らしく、女は女らしく、というところがはっきりしていて、それがクロスするところに面白さがあるのかなと思います。この『星屑の町』も少しそういうところがあるので、そんなところが懐かしさを感じさせるのかなと思います。
有薗芳記「傷だらけの天使」なんて際どかったから、今ああいう作品はテレビで作れないよね。
でんでん「お笑いスター誕生」も出演している側は戦場のような感じでしたよ。ダウンタウンなんかもうまくいかなかった時はそれこそ「また今から作戦練るぞ」という感じでしたし。その代わり、当時はランチビールを飲んで出ていても許される時代でした(笑)。
Q OKWAVEユーザーにメッセージ!
A小宮孝泰役者としての僕は、はじめの頃は先輩方もいるのに年下の僕がリーダー役で精神的に大変でした。でも、演じていくうちに、自分をよく見せようと思いすぎないようにしたら、楽にいられると気づけて、そうすると人の言っていることもよく聞こえてくるようになりました。自分を過小評価するのもダメだけど、失敗を恐れずに、皆さんもそんなところ気づけるといいなと思います。
今回の映画化は、でんでんさんは70歳になられて、僕らもいい年になっていますが、こうして映画になるように、みんながちゃんと思っていれば新しいことが起こるのです。夢や希望をずっと持っていればちょっとくらいはいいことが起きると思います。僕らも大勢いたから更にもうちょっといい感じになったんだと思うので、そういうふうに観ていただけたらと思います。
有薗芳記不思議なもので、はじめはスズナリで、その後には約2000人入る新宿コマ劇場でも1ヶ月上演しているんですよ。深夜のテレビでもやっているので、映画になるのは不思議な力があるなと思います。
小宮孝泰水谷さんもこの『星屑の町』は不思議な運を持っていると言っていました。前川清さんとの共演やコマ劇場も水谷さんは最初からそうなればいいと思っていたそうですから、やはり思いは強い方がいいと感じます。
菅原大吉前川さんや戸田さんも、助けてくれる人がいいタイミングで現れるよね。
若い人もこういう世知辛い世の中なのでこの映画でほっこりしてもらえるといいなと思います。何かとコンプライアンスと言われる時代ですが、誰に見せても大丈夫な、安心して観てもらえる作品ですからね。
でんでん“喜劇”というよりは温泉に浸かっているような感じでね。仲良しグループの雰囲気を楽しんでいただく作品です。
渡辺哲そういう雰囲気が映っているのでそれを感じてもらえたらいいですね。
Q小宮孝泰さんからOKWAVEユーザーに質問!
小宮孝泰私は、今回の物語の背景である東北の名物“ホヤ”が苦手です。釣りやスキューバダイビングは好きなのですが(私は意外に海の男です)、ホヤを口に入れた時の磯臭さが苦手なのです。同じように、海から上げたばかりの生ガキも苦手です(カキフライは大好きですが)。どなたか、“ホヤ”や“カキ”の生な触感を残して美味しく食べる方法を教えて下さい。
■Information
『星屑の町』
「山田修とハローナイツ」。大手レコード会社の社員だった山田修をリーダーに、歌好きの飲み仲間、市村敏樹と込山晃、青木五郎をコーラスに、大阪ミナミでくすぶっていた歌手の天野真吾をボーカルに迎えてスタート。途中から参加した西一夫は、ハローナイツの借金を肩代わりするのを条件に、博多の焼き鳥屋と4人の子どもを女房にまかせてメンバーになった。それぞれの事情を抱えながらグループを続けてきたものの、これといったヒット曲もなく、ベテラン女性歌手・キティ岩城と地方を回りながら、何とか細々と活動を続けている。
そんなある日、東北の田舎町でメンバーが出会ったのは、東京から出戻り、再び歌手になる日を夢見る田舎娘・愛。 突然、ハローナイツに入りたいと直訴して、大騒動に発展、すったもんだの末に、愛はハローナイツに加入することとなり、状況が一変!たちまち人気者となりスポットライトを浴びることになる。 思いがけず夢を叶えたかに見えたメンバーだったが。
大平サブロー ラサール石井 小宮孝泰 渡辺哲 でんでん 有薗芳記
のん / 菅原大吉 / 戸田恵子
小日向星一 相築あきこ 柄本明
原作・脚本:水谷龍二
監督:杉山泰一
音楽:宮原慶太
宣伝・配給:東映ビデオ
(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ