OKWAVE Stars Vol.929は映画『あなたにふさわしい』(2020年6月12日公開)宝隼也監督へのインタビューをお送りします。
Q 題材についてお聞かせください。
A宝隼也2組の夫婦がどこかに行くというシチュエーションでの、男女関係や人間関係を描いた映画は割とあるジャンルで、一度は作ってみたいという憧れがありました。人と人の関係性の成り立ちに興味がありましたので、この2組の夫婦のそれぞれの関係性がどうなっていくのかを描いていきました。
Q 主役の美希をはじめ、キャラクターの造形がリアルでおもしろかったのですが、2組の夫婦の設定についてはいかがでしたか。
A宝隼也なるべく価値観が違う人物にして、各々が何を見ているのかを描き出すようにしました。
主人公の美希さんのような人がいたら実際は大変だと思いますが、奔放なところは捉え方によっては羨ましく見えるかもしれません。我々が日頃いろいろなものにとらわれているから、美希さんのような人物を見てみたいだろうなと思いました。それに比べて他の3人の描き方には苦労しましたし、ディスカッションを重ねて作っていきました。我が道を行くような夫の由則さん、その由則さんと男女関係とはまた違った強固な関係性を持っている仕事上のパートナーの多香子さん。このふたりの関係性も映画の中でかなり重要です。その多香子さんの夫の充さんも含め、美希さんのような人を前にして、この3人がどう振る舞うのかを描いていきました。
Q 撮影時のエピソードをお聞かせください。
A宝隼也人の動きに関しては現場で作っていきました。シナリオにはもちろんト書きも書いてありますが、この映画の主な舞台となる別荘にキャスト、スタッフと行ってからリハーサルを行っています。その別荘の構造を見て、各シーンの動きをつけていったので、東京での本読みの段階とはまた違った表現になったと思います。
撮影ではシーンの頭から最後までをワンカット、カメラ2台で撮って、編集で組み合わせていきました。また、芝居もあまり回数を重ねずにやっていったので、新鮮でより自然に見えるのだと思います。
Q タイトルに込めた狙いをお聞かせください。
A宝隼也他の候補もある中で、仮タイトルとしてついていた『あなたにふさわしい』はどうなのかなと思いながら撮影に入りました。でも、いざ撮ってみるとこの作品を端的に捉えていて、この映画のタイトルにふさわしいなと感じました。
Q 本作を通じての新しい発見はありましたか。
A宝隼也撮っていて気づいたことですが、キャストの方々は、キャラクターの本心や言いたいことを話している時がイキイキしていると感じました。そういう時には吸い寄せられるようにカメラも寄っていきました。正しい、正しくないといった行為ではなく、そういう人の本心が出てくる時の面白さを実感しました。そういうものは日常でなかなか見られるものではないので、映画ならではの発見だったと思います。
Q 宝監督からOKWAVEユーザーにメッセージ!
A宝隼也この映画を観て価値観や、身近な人との関係性を見つめ直すことで、何か新しい発見があればいいなと思います。
Q宝隼也監督からOKWAVEユーザーに質問!
宝隼也この映画では2組の夫婦が行った別荘での人間関係の変化を描いています。皆さん自身がそういう非日常のシチュエーションに身を置いた時に、どんなことが起こると思いますか。
■Information
『あなたにふさわしい』
2020年6月12日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー
専業主婦の飯塚美希は、ブランドネーム開発をしている夫・由則に対して不満を持っている。ある日、由則の仕事のパートナー・林多香子とその夫・充とともに、別荘を借りて2組の夫婦で5日間の休暇を過ごすことになった。しかし、現地に着くやいなや、由則と多香子は急遽発生した仕事上のトラブルを解決するため別行動に。美希と充は不満かと思いきや、実は二人は隠れて浮気していたのだった。その夜、由則が話す仕事の思想を聞いた美希は、由則との間にある溝が埋まらないことに気づいてしまい…。森の中で出会った訳あり野鳥カメラマンを巻き込み、美希はどのような決断を下すのか?
出演:山本真由美 橋本一郎 島侑子 中村有
鶏冠井孝介 紺野ふくた
監督:宝隼也 脚本:高橋知由
配給・宣伝:アルミード
公式サイト:www.anafusa.com
Twitter:@anafusa_movie
facebook:https://www.facebook.com/anafusamovie
(c) Shunya Takara
■Profile
宝隼也
1987年生まれ、長野県出身。
日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了(映像芸術専攻)。大学(東京工芸大学)では山川直人に師事。在学中から映画制作に励み、経験を積む。修了後も映画制作を続け、映画祭や劇場で公開されたほか、ホラー系オリジナルビデオシリーズ等を監督。今作は初長編作となっている。