OKWAVE Stars Vol.941は映画『悲しき天使』(2020年8月7日公開)主演の和田瞳さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作主演についてお聞かせください。
A和田瞳昨年夏に森岡利行監督の舞台に出演させていただいて、その稽古初日の後に監督に突然呼ばれたんです。実はその稽古初日に口答えをしてしまっていて、「怒られてしまうのかも」と思いながら監督のところに行くと、「映画の主演をやってみないか」と言われて。全然違う話だったので自分でも理解できていなかったのですが、その場で「はい」と答えて決まりました。運命的な出会いだと思います。
Q 森岡監督の劇団STRAYDOGで舞台化されている作品とのことですが、台本の印象はいかがでしたか。
A和田瞳舞台で長年再演されているので、きっと素敵な話なのだろうし、実際そういう評判は聞いていましたが、台本を読むまではストーリーの詳細は知りませんでした。届いた台本を最初は自分の役に起きる展開を客観的に読んで驚きもありましたが、役作りをしていくと、ひとつひとつのセリフが自然と出るようになりましたし、本番でもすんなりと演じられました。
Q 演じた一美の役柄についてはどう捉えましたか。
A和田瞳一美は飛田新地で一番人気の女の子なので、“モテる女性”の仕草を検索して調べたり(笑)、まずは外見から入っていきました。たとえば所作はゆっくり動いてみようとか、外見を作れば自然と中身も出てくるだろうと。私は関西弁が初挑戦だったので、マネージャーが毎日セリフを読んでくれて、自分のイントネーションを直してもらってとにかく関西弁に慣れるようにしました。他にも、飛田新地について勉強したり、共演の水野勝くんのことを知ることもそうですし、いろいろな勉強をして段々と役に近づいていきました。それと、いつも役を演じる時にはその役に合った香水を選んでいるんです。一美の香りはこれ、と決めた時により一美に入り込めたかなと思います。そういう映像には見えてこないところも考えたり、水野くんともそんな裏設定について話し合ったりして、直接的に伝わらなくてもにじみ出てくる部分を大事にしました。
Q 監督から言われたことや撮影現場の様子についてお聞かせください。
A和田瞳監督からは「瞳の年齢だと、一美は若いかな」と言われていたので、落ち着いた雰囲気が出るようにしました。監督は型を決めないタイプなので、私の好きなように演じさせてもらいました。また、基本的に一回目でOKを出す監督なので、ある意味私にとっても一回一回が勝負でした。撮影自体はスムーズに進んだ印象です。
物語の主な舞台となる遊郭の建物に使っている旅館にみんなで泊まっていたので、移動もないですし、ケータリングもスタッフやキャストで作っていたので、すごくアットホームで、気持ちも温かくなる現場でした。
それと飛田新地が舞台と言いましたが、撮影は関西ではなく茨城県と東京都内で行っていて、遊郭の街並みは全部CGで作っているんです。実際には何もないところに撮影に使った旅館があるだけだったので、すごくリアルに仕上がっていてびっくりしました。
Q 茂役の水野勝さんとの共演についてはいかがでしたか。
A和田瞳顔合わせをしてから3週間もしないうちにベッドシーンの撮影が予定されていましたし、役柄が二人は恋愛関係にあったので皆さんが納得できる関係性に見えるように、水野くんとの信頼関係が大事だと思いました。お芝居だけの関係では難しいと思ったので、少しでも水野くんを知って、仲良くなれるようにコミュニケーションをとるようにしました。水野くんも多分同じ気持ちで、初対面の時からたくさん話してくれて、フランクな方なので演じやすかったです。
Q 他のキャストの方々についてはいかがでしたか。
A和田瞳重松隆志さんは舞台の「悲しき天使」を観て俳優になろうと志したそうです。それを聞いて、そんな風に人の何かを揺さぶれる作品に出られることを改めて嬉しく思いました。重松さんはフランクな方でいろいろなお話をさせていただきました。川上奈々美さんにはお仕事のことで相談にのってもらったこともありますし、円谷優希さんとは一緒にドライブに行ったり、木下ほうかさんもお会いする機会があったり、キャストの皆さんとは仲良くさせていただいています。お宮の松さんも本当に素敵な方で、いつも面白い話をしてくださって、皆さん一人一人と思い出深いです。
Q 撮影で印象的だったことなどはいかがでしょう。
A和田瞳柴田明良さん演じる丸山に一美が襲われるシーンがあって、その時は私自身、5時間くらいは柴田さんのことを嫌いになりました(笑)。リアルに痛くて「痛い!」と声が出てしまったので、迫真を通り越していたんです。柴田さんは普段はとても素敵な方なので、あの時は自分の気持ちがものすごく動いた分、思い入れが大きいです。
水野くんとのシーンはどのシーンも思い入れがありますが、おんぶされるシーンが印象深いです。スタッフさんが道路に何十メートルにも渡って水をホースで撒いたまさに手作りな散水をして、一人一人が良い映像のために力を尽くしていて、私も真正面から向かえましたし、皆さんに助けられました。ベッドシーンも、周りも楽しい雰囲気を作ってくださっていたのかなと思いますが、自分で思っていたよりも緊張せずに演じられて、気づいたらスムーズに終えることができました。
Q ここだけの話があればぜひお願いします。
A和田瞳撮影中にお化けが出たんです!監督と水野くんの話ですが、撮影期間中に、夜にみんなで飲む機会があって、ある晩に、水野くんが座っていた椅子が突然バンっと割れて水野くんが尻もちをついてしまったんです。それ自体は怪我もなく笑い事で済んだのですが、その翌日に、水野くんと撮影を待っている時に突然水野くんが「いま触った?」と聞いてきたんです。もちろん触ってないです。しかもその日から水野くんは腰痛を抱えてしまったので、これは何かの仕業だと。監督は監督で、「ここにいるけど、悪い幽霊じゃなく応援してくれているから大丈夫」なんて言っていて。他にもスタッフの方が何人か現場で何かを感じていたようです。
Q 本作に出演されて遊郭や人間模様に思うことはありましたか。
A和田瞳私にとっては身近なものではありませんが、人間模様については根本的には何も変わらないなと思いました。私の仕事も、映画を観に来た方がその時間のお金を払ってくださるので、エンターテインメントと同じ様に、いろんな仕事があるんだと感じました。女師もいれば、女に食べさせてもらっている男もいるので、いろんな人がいるという発見もありました。この作品にはノンフィクションのエピソードも混ざっていて、よりリアルに感じていただけると思います。情報量が多い作品ですので、2回目は別の人物に注目していただいたり、何度でも楽しんでいただければと思います。
Q 本作に出演されて新しい発見などはありましたか。
A和田瞳人を愛するということは難しいなと感じました。私は仕事が大好きなので、普段、恋愛には興味がなく、恋愛をしても仕事優先してしまうと思うので、一美と茂のように愛があれば仕事を辞めて二人で生きよう、と言えるのはすごいなと思いましたし、愛の深さを感じました。一美にとっては恋ではなく愛だったのだろうなと思います。私もそういう純愛に出会えるといいなと思いました。
Q 本作を踏まえての今後の抱負などお聞かせください。
A和田瞳この映画では体当たりのお芝居に挑戦させていただきました。これがあったおかげで自分に自信がつきましたし、新しい作品にも挑戦させていただいています。私の名前の「瞳」は「二十四の瞳」からつけられていて、映画には私のおばあちゃんが出演しているんです。それもあって私は映画の世界で生きたいなと思っていたので、今回主演させていただいて、よりそう思ったし、いつか「二十四の瞳」がまた映像化される機会があれば携わりたいと思っています。これからも求められることに常に挑戦していきたいです。
Q 和田瞳さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A和田瞳たくさんの方に広めていただいて、この作品に触れていただけたらと思います。全国に届くことを願っています。
■Information
『悲しき天使』
2020年8月7日(金)よりシネマート新宿にて2週間限定レイトショー
忘れんとってなウチのこと……。時代から取り残されたような大正建築の遊郭が立ち並ぶ歓楽街。大きな借金を抱えた無職の男・茂はその遊郭で一美という美しい遊女と出会い、女の心のケアをする女師という生き方を選んだ。そして、人生の欲望と悲喜劇が蠢く遊郭という場所で、一美と茂は泥を飲み込み、地獄を彷徨うような恋に堕ちて行く。
和田瞳 水野勝
川上奈々美 重松隆志 森田亜紀 円谷優希 山田奈保 赤羽一馬 酒井健太郎 那波隆史 柴田明良
お宮の松(友情出演)/中西良太 三浦浩一 木下ほうか
脚本・監督:森岡利行
配給:キングレコード、ブラウニー
配給協力:太秦
©2020キングレコード
■Profile
和田瞳
1995年2月18日生まれ、東京都出身。
女優として映画、ドラマ、舞台、CMなどに活躍中。
https://twitter.com/hitomichan0218
https://www.instagram.com/hitogram0218/?hl=ja