OKWAVE Stars Vol.942は映画『いけいけ!バカオンナ〜我が道を行け〜』(公開中)主演の文音さんへのインタビューをお送りします。
Q 主演のオファーをどう受け止めましたか。
A文音もともと原作の大ファンでした。それが映画化されるということで、とても嬉しかったです。これまで女の友情にフォーカスした日本映画はあまりなかったと思いますし、周りの女友だちが結婚したり子どもが生まれたりすると、昔みたいには会えなくなって女の友情の儚さのような事を感じる時期が実生活でもありました。だから主役の結子の気持ちが何のフィルターもなく自分の中に入ってきて、ぜひ演じたいと思いました。
Q 台本を読まれた印象はいかがでしたか。
A文音はじめにお話を頂いたのは3年くらい前になりますが、企画の遠藤さんという方が脚本家の北川亜矢子さんを連れていらして、私が感じているアラサーの悩みやエピソードについて話す機会をいただきました。それがあって完成した台本を読ませていただきました。台本の作り方やセリフも固くなくて、現代の女の子の話し言葉になっていて、とても自然で、面白い脚本だと感じましたね。撮影に入る前に永田監督にも会わせていただきましたし、自分は出演者ですが、映画製作の内側にも入れたのはすごく光栄なことだと思います。
Q 結子役を演じる上で、どんな役作りをされましたか。
A文音結子は一生懸命だけど空回ってしまう女の子です。この映画がコメディということもあって結子の言動は振り切りすぎてはいますが、女性に理解してもらえるところがたくさんあります。“言うはずがなかったのについ言ってしまった”なんてことは、女の子あるあるだと思います。構ってほしいからイジワルなことを言ってしまう“かまちょ”なところも女性が持っている部分です。そんな共感するところがたくさんあったので、役を作るというよりは、コメディとしてこの役をどう大きく表現するかというところでした。それと結子の10年間を演じているので、洋服や話し方の変化はあります。
Q コメディ初挑戦とのことですね。
A文音そうなんです。コメディが一番難しいと思っていました。ニューヨークに演劇留学していた時に教えてくれたイタリア人の先生は「役者が演じるコメディは芸人のように笑わそうとするものではなく、一生懸命な様がちょっとおかしい。そこに笑いが生まれる。それがコメディなんだ」と言っていました。私もコメディだからというよりも、台本に書かれていることを120%一生懸命に演じるということを意識しました。顔七変化なシーンもありますが、変顔をしているというよりも、心の感情がそのまま表情に出ちゃっている。それを笑ってもらえたらいいなと思います。
Q 監督からの演出などはいかがでしたか。
A文音コメディだからこうだ、ということではなかったです。ただ、コメディを作る要素としてテンポを大事にされていたので、早口だったりリズムのいい芝居やセリフ回しができるように、舞台の稽古の様に台詞回しは練習しましたね。
Q セツコ役の石田ニコルさん、絵美役の真魚さんとの共演はいかがでしたか。
A文音すごくタイトなスケジュールで監督はじめ、キャスト、スタッフみんなが頑張って作った映画で、もちろんふたりともすごくがんばっていました。現場にニコルさんがいると結子とセツコの関係と同じ様に安心できましたし、真魚さんも絵美ちゃんと同じ様にすごく明るいオープンな子なので、すぐに仲良くなれました。良い共演者に巡り会えたなと思います。
ニコルさんとは撮影の初めの方に撮った、結子がフラれて泣きながら橋のところに歩いていくシーンが印象深いです。夜の撮影ですごく寒かったのですが、ニコルさんがセツコとして入ってきたら、自然と涙が出て結子の気持ちを表現できました。撮影の前半にそれがあったので、結子とセツコの転機となるシーンでもあるし、私自身ニコルさんに心を預けていいんだと思える大事なシーンになりました。結子と絵美ちゃんとでは大学のシーンが多くて、結子が絵美ちゃんにどつかれるところなど、真魚さんも楽しんでいたし、私も楽しみながら演じることができました。
Q 彼氏・幸司役の小野塚勇人さんとのお芝居はいかがでしたか。
A文音初共演で、撮影が始まってから初顔合わせになったのですが、小野塚さんの持っている波動なのか年齢差なのか分かりませんが、自然と演じられました。幸司くんとして見ていられたので、昔から知っている弟のような感覚で、とても演じやすかったです。女性からすると、幸司くんのキャラはみんなに好かれるタイプですが、男性からするとちょっと弱々しく見えるのかなと気になっています(笑)。優しい男性だし、結子のような破天荒でまっすぐな女性にはああいうサポートしてくれる男性じゃないと無理だろうなと演じながら感じました(笑)。
Q 本作を通じて新しい発見や気づきなどはありましたか。
A文音「女性にとって何が幸せか」ということがこの映画のテーマの一つですが、例えば、自分が大好きな人と一緒になるとか、そこまでではないけれど居心地のいい人と一緒になるとかありますが、自分が大好きな人かどうかよりも、この人といる自分が好きかどうかを考えた方が楽なのではないかと、結子を演じていて感じました。結子は結子のままでいられる相手といるから幸せなのかなとも感じました。女性同士では、彼氏や旦那のステイタスを気にすることもありますが、それだけが重要ではないということ、それと女子たちがスクラム組んで発するパワーって凄い!って改めて思いました(笑)。
Q 文音さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A文音女性には絶対に分かる共感できるところが満載です。コロナがあって、皆さんいろんなことを考えたと思います。私はその中で笑いの大切さに気づきました。苦しいことがあっても、友だちと会って笑って過ごしたら、その苦しいことを一瞬でも忘れられると思います。大変な時期だけれども、笑ってほしいです。結子のラストシーンのセリフも女の子がみんな思っていることなので、ぜひ女の子が彼氏を連れて観に来て大笑いしてほしいです。自分の幸せは何だろうと気づいてくれたら嬉しいですし、女友だちのことに思いを馳せられる映画になったら良いなと思います。
■Information
『いけいけ!バカオンナ〜我が道を行け〜』
アラサー女子・杉山結子。外ではイケイケ女を気取っているが、私生活では地味で質素な生活を送る“超”のつく見栄っ張り女子。ある日、美人の澤野セツコと出会い、お互いの存在に火花を飛ばす!
いまだロストヴァージンを迎えていない結子は、親友の中川絵美と一緒に彼氏獲得に励む日々。やっと彼氏らしき男と巡り合った結子だったが、友達に自慢するには程遠い男。理想と現実のギャップに思わずため息…。そんな矢先、セツコが突如結婚すると紹介された彼氏は?!
そして、セツコの結婚にダメだしの結子。
果たして「女の友情」ははかないものなのか…それとも…。
文音 石田ニコル 真魚
小野塚勇人 花沢将人 藤田富 菅谷哲也 / 小西遼生 / 田中要次
監督:永田琴
原作:鈴木由美子「いけいけ!バカオンナ」講談社「Kiss」所載
配給:アークエンタテインメント
©鈴木由美子・講談社/ネスト
■Profile
文音
1988年3月17日生まれ、東京都出身。
2008年10月公開の映画『三本木農業高校、馬術部』(監督:佐々部清)の主役として女優デビューし、第33回報知映画賞新人賞、第32回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2012年9月から1年半、ニューヨークへ演劇留学し、帰国後ドラマ・映画・演劇と女優としての活躍を再開させた。近年の主な出演映画に「八重子のハミング」(16)、『イタズラなKiss THE MOVIEシリーズ』(16/17)、主演作に『ばぁちゃんロード』(18)など。