OKWAVE Stars Vol.943は映画『ロックンロール・ストリップ』(2020年8月14日公開)に出演の三戸なつめさんへのインタビューをお送りします。
Q 本作出演の経緯をお聞かせください。
A三戸なつめ朋美役にはオーディションで選んでいただきました。オーディションでは、映画の1シーンの、朋美が兄の勇太にカフェでタバコを吸いながらガミガミ怒っているシーンを演じたのですが、朋美は正論を言っていると感じました。お兄ちゃんを相手にここまで言えるのは自分の芯がしっかりしているからだろうと思いました。オーディションに先立って木下半太監督の原作小説を読んだところ、バンドをやっている朋美の音楽への思いや、自分の音楽ができないもどかしさに嫌気が差して地元に帰ってきているところは、私も音楽に携わっている身として朋美が感じている不安や「これでいいのか」という気持ちは分かる気がしました。小説を読んでより朋美を演じたいと思いましたし、木下監督の映画にすごく出たいという気持ちが高まって、オーディションからの帰り道に思わず監督のTwitterをフォローしてしまいました(笑)。そのくらい私の気持ちも高ぶったので、決まった時はすごく嬉しかったです。
後で監督にお聞きしたら、これまで私のことをふわふわした女の子らしいイメージを持っていたそうで、オーディションで話した時の感覚が関西人だったことが決め手とのことでした。
Q 映画版の台本についてはどう感じましたか。
A三戸なつめうまくいかなくて悩んでいる人たちのお話ですが、「頑張ることって素敵じゃない?」と観に来た方に伝えられる映画になると思いました。
主人公の勇太がすごくムカつく人物なんです(笑)。とくに彼女の千春ちゃんに対しての勇太にはイライラして、完成した映画を観てもそう感じました。勇太に千春ちゃんと結婚する気があるのか聞く場面で「しっかりしろよ」的なセリフがあるのですが、そこは私自身の気持ちもすごく乗りました。チャンスだと思うことがあるとそちらに行ってしまう気持ちは分からなくもないのですが、千春ちゃんがかわいそうすぎて本当にイライラしました(笑)。
Q 朋美の役柄をどう作っていきましたか。
A三戸なつめ勇太お兄にムカついているシーンがほとんどなんですが、それでも根本ではお兄のことを大切に思っている、ということを忘れずに、ただ叱っているだけに見えないように演じました。
私は奈良出身なので関西弁の発音は問題なかったのですが、会話のテンポが思ったよりも早くて、奈良の人はもう少しのんびりしているので、同じ関西弁でも注意して演じました。オーディションの時は監督自ら勇太役を演じていて、テンポがとても早くて追いつけないと思ったので、台本をいただいてからはテンポ感を崩さないことを意識して練習していました。
Q ジャルジャルの後藤淳平さんが勇太役を演じられましたが、共演していかがでしたか。
A三戸なつめテレビで見る後藤さんの印象通りの優しい方でした。例えば、朋美がタバコを吸うシーンで、私自身は吸わないので、うまくライターがつけられなかったり、タバコを一口吸って、ふーっとやった時にセリフも飛んでしまったのですが、その時も「普段やらないことをするとそういうこともあるよね」とフォローしてくれて本当に優しい方でした。
Q 現場の雰囲気はいかがでしたか。
A三戸なつめ東京で撮影をしているのですが、関西人が多い現場で、まるで関西に帰ってきたような感じで居心地が良かったです。
私は参加していませんが、終盤にみんなが踊るシーンがあって、夜遅くまでかけて、みんな気合で乗り切っている様子を見て、完成したものを早く観たいと思いました。後藤さんは「踊れない」と言っていたので、ちゃんと踊れているのも印象深かったです。
劇団員役の坂口涼太郎くんの身体も印象深いです。登場人物が実在の方なので、坂口くんはモデルになっている方にそっくりだということにびっくりもしました。
それを監督はモニターを見ながらすごく笑うんです。役者さんの演技を見ながら肩を揺らして笑っている様子を見てかわいらしい方だと思いました(笑)。
Q 本作の舞台となるストリップ劇場について思うところはありましたか。
A三戸なつめストリッパーのリリーさんの「好きで客に股開いているんじゃないんだよ」というセリフが印象深くて。確かにそうだと思いましたし、そんな本心を見せないストッリッパーのプロ意識や、そういう生き方をされている方の覚悟が伝わってきました。私にとって見たことがない世界だったので、同じ女性としてすごく考えさせられました。
Q 歌も披露されたロックバンド「マチルダ」についてはいかがでしたか。
A三戸なつめCalmeraさんが劇中歌を提供するのは初めてとのことで、格好いい女性の歌で、私も歌っていて楽しかったです。監督からは、そのライブ映像の朋美はちょっとやらされている感じを出してほしいと言われていましたが、私は楽しくてどうしてもノリノリになってしまって(笑)。バンド役で演奏しているCalmeraの皆さんもノリノリなので、ロックバンドのボーカルになった気持ちで自分に酔えるような楽しい気持ちでした。朋美は普段は黒っぽい服装なので、「マチルダ」の衣装は着たくなかったのだろうなと思いました。でも私自身はすごく気に入って、葛藤がありました(笑)。
Q この映画では芸能界で夢を追うことの難しさも描かれています。
A三戸なつめ私自身、ファンの皆さんにはキラキラしたところを見てもらいたいと思っていますし、芸能界自体が夢を売るところですが、やはり普通にいろいろな欲望が渦巻いていますので、朋美が勇太に言う「お兄には向いてない世界」というセリフも理解できます。真っ直ぐな人ほどダメージを受けてしまいそうなところだと私自身も感じます。だからこそ、この映画では、そんな風に真っ直ぐで、生きづらいと感じている方に光を当てたいと思いますし、私たちの表現もそのためにあるのかなとも思います。
Q 三戸なつめさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A三戸なつめ夢に向かってがむしゃらに頑張れば頑張るほど、周りが見えなくなったり、うまくいかなくて凹んでしまうのは、夢を強く見ている人ほど感じることだと思います。この映画を観て、凹んじゃってもいいんだ、つまづいてもいいんだと思ってもらえたら。夢のために生きたいという希望を感じていただけたらすごくいいなと思います。それと、やはり今はコロナでみんな気持ちが沈んでしまっていると思いますので、笑えるところがたくさんあるこの映画で笑ってほしいです。
Q三戸なつめさんからOKWAVEユーザーに質問!
三戸なつめ自分がロックだなと思う瞬間や、ロックな一面はありますか。私自身はあまりそう感じる時はありませんが、一人でカラオケに行くと普段の自分ではない気がします(笑)。
■Information
『ロックンロール・ストリップ』
売れない劇団の座長・木村勇太の夢は映画監督になること。しかしその実態は、観客がまばらな劇場で演劇を続けたあげく、劇団員たちに愛想をつかされて解散。長年付き合っている恋人・栗山千春との結婚に踏み切ることもできず、人気ロックバンド「マチルダ」でボーカルをつとめている妹の木下朋美とは大違いで、散々な日々を過ごしていた。経営しているバーの常連にも「夢は諦めるのが早いほうがいい」と言われる始末。
ある夜の閉店間際、勇太はバーにやってきた謎の美女・冬音から、赤星、ビーバー藤森、火野と共に旗揚げした劇団「チームKGB」にストリップ劇場で上演してほしいとお願いされる。冬音は「チームKGB」のファンで、なんと人気ストリッパー旭川ローズだった。
劇場を満員にしたい旭川ローズの想いを叶えるべく、場末の劇場を舞台に、勇太たち劇団員4人が町中を巻き込んでの珍騒動が始まる。
後藤淳平(ジャルジャル)
徳永えり 智順
三戸なつめ 坂口涼太郎 ぎぃ子 町田悠宇
やべきょうすけ/木下ほうか
原作:木下半太「ロックンロール・ストリップ」(小学館文庫刊)
監督・脚本:木下半太
配給:ベストブレーン
https://www.rocknroll-strip.com/
©木下半太・小学館/タッチアップエンターテインメント
■Profile
三戸なつめ
2010年に関西で読者モデルの活動を開始。
2015年には中田ヤスタカプロデュースによる「前髪切りすぎた」でアーティストデビュー。
2018年からは本格的に俳優としても活動を開始し、ドラマ&映画「賭ケグルイ」や舞台「鉄コン筋クリート」などに出演。
映画『パディントン』では日本語吹き替え声優も務め、2020年に映画『明日、キミのいない世界で』では初のヒロイン役に挑戦する等、モデル、女優、タレントとして活動の幅を広げている。
https://mito.asobisystem.com/
https://twitter.com/mitonatsume
https://www.instagram.com/mito_natsume/
ヘアメイク:中安優香
スタイリスト:藥澤真澄
ドレス/パーミニット(perminute.net/)
ピアス/ジェンマ アルス(gemmaalus.com)