Vol.948 アーティスト 白波多カミン(映画『東京バタフライ』について)

白波多カミン(映画『東京バタフライ』)

OKWAVE Stars Vol.948は映画『東京バタフライ』(2020年9月11日公開)主演のアーティスト・白波多カミンさんへのインタビューをお送りします。

Q 本作主演の経緯をお聞かせください。

A映画『東京バタフライ』白波多カミンある日突然、この映画の制作会社のTokyo New Cinemaさんから「ぜひ出演していただきたいです」というメールが届いたんです。騙されてるんじゃないかとも思いつつ(笑)、新しいことに取り組むのが好きなので、佐近圭太郎監督やプロデューサー、カメラマンさんらとの顔合わせに行きました。その場で丁寧な企画書をいただいて、緊張して座っていらっしゃる監督らを、悪いことができなさそうな人たちだと思いました(笑)。本当に私で映画を撮りたいんだという気持ちが伝わってきて、引き受させていただきました。

Q 台本の印象はいかがでしたか。

A白波多カミンオファーをいただいた当初の台本はどちらかというとサクセスストーリー寄りだったんです。それを監督と脚本家さんが今撮りたい映画は何かを相談されて、この映画の内容になったそうです。バンドの映画はたくさんありますが、私の印象としてはバンドの話というよりは、音楽に限らず、やりたいなと思ったことがいろんな理由でできなかったからといって世界は終わらないし続いていくんだよ、ということが描かれている作品です。私はそこに共感できたので、いい作品に出演できたなと思います。

Q 安曇役についてはいかがでしたか。

A白波多カミン安曇はちょっと捉えどころのない人物かもしれませんが、自分が納得できないと行動できないところは私と重なる部分です。自分を裏切らないように生きたい、という気持ちはすごく分かります。私もバンドを組んだり解散したり、メジャーデビューを経験したりと、安曇と似た経験をしているので、安曇が物語の中で少しずつ進んでいくところにも共感できました。
私自身はセリフを言う演技が初めてだったので、私が安曇なんだと思いこんで演じるしかなかったので、どこまでが演技なのか、というところからでした。監督は、私を見た時の印象や話し方から、私のことをそこにいる存在として撮りたい、とおっしゃっていましたので、白波多カミンが安曇を演じている、ということ自体を撮りたいのかなと思いました。

Q 人気バンド「SCORE」のメンバー役の印象は。

A映画『東京バタフライ』白波多カミン皆さん私よりも若いけれど、俳優としては大先輩なので、全ての言葉がありがたかったです。とくに安曇が怒るシーンが印象に残っています。安曇がレコーディングスタジオの外の階段を駆け下りて、そこでバンドメンバーに引き止められて、セリフを言わなければならなかったのですが、怒っている気持ちのような昂ぶった感情を作っていると、セリフが頭の中から飛んでしまうんです。何回やっても何も言えないということが続いてしまって、その時に修役の小林竜樹さんが「カミンちゃん、ゆっくりでいいよ」と言ってくれました。その言葉には、行動自体をゆっくりということもありますが、気持ちをもっとゆったりとしても大丈夫、という意味が含まれていて、そう言われた後にすぐに演じることができました。
同じシーンで、水石亜飛夢さん演じる仁と言い合いにもなるのですが、仁と向き合っているのを正面からカメラで撮られる際に、カメラの横に立っている亜飛夢さん本人を見ると目線がカメラからずれてしまうのでセリフが言いづらいんです。そんな時に亜飛夢さんは「僕の耳のあたりを見て話すといいですよ」と敬語で優しく教えてくださって、それですぐに演じることができました。他にもみんなからはたくさん助けていただきました。
稔役の黒住尚生さんは同じ関西の出身で話しやすくて、撮影の合間も演技の相談を気さくにできたり、演技だけではない心の持ちようの部分でも教えていただけました。みんな助けてくれて本当のバンドのようでした。

Q 6年後の現在はヘルパーの仕事をしている安曇についてはいかがでしたか。

A映画『東京バタフライ』白波多カミンヘルパーのシーンは本当に楽しかったです。私自身は眼科の受付のアルバイトをしたことがあって、ご年配の方と接することが多かったのでその経験を活かせましたし、ご年配の方やお子さんなど、違う世代の方と接するのはもともと好きです。ヘルパー先のお宅での撮影は楽しかったですし、孫のさゆりちゃんに安曇がギターを教えるシーンもただただ幸せでした。かわいい女の子にギターを教えて弾けるようになる様子は演じていて幸せでしたし、実際に弾けるようになったことにも感動しました。さゆりちゃんのシーンは光と風が入ってくるような多幸感があって、とても印象に残っています。

Q とくに思い出深いことはありますか。

A映画『東京バタフライ』白波多カミン最後にスタジオで「バタフライ」を歌うシーンにはやはり思い入れがあります。演奏を通じて「SCORE」のみんなが心の中で感動している様が伝わってきました。「バタフライ」は私のバンドの曲で、この映画で「SCORE」が演奏しているということでも、曲の高まりを感じましたし、自分の手から曲が巣立って一人前になった感覚もあって感動的でした。気持ちをダムのように溢れさせられる俳優の皆さんにも感動しましたし、人間ってすごいなという素朴な感動もありました。

Q 本作では音楽も手がけられました。

A白波多カミン先に音楽のない状態で全編を観させていただいて、監督とどのシーンに音楽を入れるかを相談しながら、光の向きや風向きを映像から感じながらピアノやギターで音にして、それに対する監督の意見を聞いて、彫刻を削っていくように少しずつ作っていきました。声を使った曲も入れたかったので、その曲にも思い入れがあります。

Q 白波多カミンさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A白波多カミン私は普段よく映画を観に行きますが、バンドものだったら観に行かないんです。でもこの映画はバンドものでは収まらないヒューマンドラマの映画だと思いました。「メジャーデビューを夢見ている」ことを、今の時代のどれだけの人が思い描いているのか、とても小さなことなのではないかと当初は思っていましたが、何かを夢見ていることはみんなに言えることだと思います。やりたかったことができなくても、世界は終わらず生活は続いていくし、叶うことだけが正解ではないし、生きていくことにとっての価値観は自分自身で決めていくことなんだ、ということが描かれています。だからバンドものは観ない私でも観に行きたい映画です。

Q白波多カミンさんからOKWAVEユーザーに質問!

白波多カミンやりたかったことができなかった時に、皆さんはとりあえず何をしますか。

回答する


■Information

『東京バタフライ』

映画『東京バタフライ』2020年9月11日(金)アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

ボーカルの安曇とギターの仁を中心に結成した人気大学生バンド「SCORE」。ある日、ライブ中にレコード会社の目に留まりメジャーデビューのオファーが舞い込んできた。しかし、安曇はある出来事をきっかけにレコード会社へ不信感を抱き、メンバーと対立。バンドは解散してしまう。
6年後、介護士として穏やかな日々を過ごす安曇、人気バンドのサポートギターとして活動する仁、アルバイトをしながらも音楽に未練が残る修、結婚後、妻・瞳の実家の和菓子屋さんで働く稔、28歳となった彼らはそれぞれ別の生活を歩んでいた。仕事、結婚、人間関係…さまざまな人生の悩みに直面した彼らは、ふとしたきっかけで再び集まることになる。

白波多カミン 水石亜飛夢 小林竜樹 黒住尚生
松浦祐也 尚玄 松本妃代 小野木里奈 浦彩恵子 熊野善啓 福島拓哉

監督・編集:佐近圭太郎
音楽:白波多カミン
配給:SDP

https://tokyo-butterfly.com/

©2020 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema


■Profile

白波多カミン

白波多カミン(映画『東京バタフライ』)1988年5月12日生まれ、京都市出身。東京都在住。
音楽家。
1st album「ランドセルカバーのゆくえ」、2nd album「くだもの」、弾き語りalbum「白波多カミン」をリリース。
2015年、白波多カミン with Placebo Foxes結成。(白波多カミン:Vocal, Guitar、濱野夏椰:Guitar、上野恒星:Bass、照沼光星:Drums)
2016年、白波多カミン with Placebo Foxesメジャーデビューアルバム「空席のサーカス」リリース。
2017年10月15日、白波多カミン with Placebo Foxes解散。
ムージックラボ2017短編部門、映画「意味なし人生ちゃん、宇宙へ」の出演、劇伴音楽、主題歌を担当。ミュージシャン賞受賞。
2018年、白波多カミン・宇加治志帆 二人展「否定と肯定、憎悪と祝福」を山本製菓にて行い、サウンドインスタレーションを担当。
2019年9月、KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、劇団快快(ふぁいふぁい)新作公演『ルイ・ルイ』に出演。
2019年11月、鉄工島フェスに参加。北嶋絞製作所にて快快パフォーマンス「HANEDABUSHI」に出演。
幅広く活動中。

http://shirahatakamin.com/
https://twitter.com/kamin30?lang=ja