Vol.952 女優 松林うらら(映画『蒲田前奏曲』について)

松林うらら(映画『蒲田前奏曲』)

OKWAVE Stars Vol.952は映画『蒲田前奏曲』(2020年9月25日公開)企画・プロデューサー兼出演の松林うららさんへのインタビューをお送りします。

Q 自ら本作の企画・製作を務められたとのことですが、本作製作のきっかけをお聞かせください。

A映画『蒲田前奏曲』(「呑川ラプソディ」)松林うらら2018年公開の主演作『飢えたライオン』を通じて海外の映画祭に行く機会があって、海外の映画関係者の方々と触れ合う中で、映画作りにはいろいろな形があるんだと感じることが多くありました。もともと俳優業だけではなく、もっと能動的に自分から作っていくこともやってみたいと思っていたので、そのことがきっかけになりました。
今年が松竹の蒲田撮影所ができて100周年ということと、地元の蒲田を舞台にまったく新しい映画を作りたいということがあって、4人の監督の作品が一つの音楽になるイメージで『蒲田前奏曲』というタイトルにしました。

Q 4人の監督の作品で一本筋が通っている本作ですが、この構成についてはどのようなお考えだったのでしょう。

A映画『蒲田前奏曲』(「シーラカンスどこへ行く」)松林うららこの映画では自分の身の回りで起きていることを表現したいと思いました。『21世紀の女の子』という女性監督15人が短編を撮り重ねたオムニバス映画に出演し、短編映画を重ねるのは面白いなと思っていて、この映画でも複数の監督に撮ってもらおうと思いました。
『21世紀の女の子』が東京国際映画祭に出品されて、その会場で穐山茉由監督の『月極オトコトモダチ』を観て、その場で企画の話をしてお声がけさせていただきました。
安川有果監督に関しては『21世紀の女の子』の一本を撮られています。この映画では女性の立場や生きづらさをテーマにしたかったので、「Me Too」という題材を撮れる方として安川監督に声をかけました。オーディションの場で女性が何人もの男の人に審査される構図に疑問を持っていたので、安川監督の作風でうまく作っていただきました。
中川龍太郎監督については、以前から知り合いで監督の作品のファンでもあり、監督も私のことを気にかけてくださっていました。どこかでご一緒したいなと思っていたので、今回実現できて嬉しかったです。
そして渡辺紘文監督ですが、ご覧になれば分かりますが変化球過ぎますよね(笑)。渡辺監督の作風は大好きなので、穐山監督と同じく東京国際映画祭でお声がけしました。監督それぞれにお題を出しているのですが、渡辺監督の作風でお願いしたいと思っていたので、渡辺監督には東京中心主義を批判してほしいとお伝えして、監督らしく栃木県大田原での撮影になりました。

Q どのように撮影は進められたのでしょう。

A松林うらら昨年の夏に撮影を開始して、穐山監督、安川監督、中川監督の順で撮影し、渡辺監督は時期をずらして秋に撮っていただきました。プロデューサーの立場は初めてでしたが、現場に俳優として入る時の切り替えは大変でした。俳優とプロデューサーは全く視点が違うので、物事の考え方や見る角度が違います。メールをひとつ送る文章の書き方から全然違いましたし、プロデューサーを経験して人間として成長できたと思います。

Q 蒲田の商店街など、蒲田らしいロケ地でしたね。

A映画『蒲田前奏曲』(「蒲田哀歌」)松林うらら中川監督の一編「蒲田哀歌」の商店街での撮影はほぼゲリラ撮影でした。蒲田西口商店街振興組合に「蒲田で映画を撮りたいです」と交渉に行ったら、応対していただいた90代の方からは「応援しているからがんばりな!」とすごく協力をしていただけたんです。商店街には映画館があってそこでも撮影したかったのですが、残念ながらちょうど閉館して叶わなかったのが残念でした。

Q キャストの方々についてお聞かせください。

A映画『蒲田前奏曲』(「呑川ラプソディ」)松林うらら今をときめく俳優さんばかり集まっていただけました。伊藤沙莉さんをはじめ、素晴らしい俳優さんばかりでした。
穐山監督の一編「呑川ラプソディ」の伊藤沙莉さんと福田麻由子さんは「女王の教室」で共演していて、キャスティングした時は私も穐山監督もそれに気づいていなかったんですが、おふたりは仲良しで現場で当時の話をしてくださったりもしました。おふたりも川添野愛さん、和田光沙さんも役として生きていて、人間としても素晴らしい方々で楽しい撮影でした。
安川監督の「行き止まりの人々」での瀧内公美さんも素晴らしい俳優さんでした。違う色の方々が集って、そのハーモニーがこの映画に出ていると思います。

Q 本作を通じての新しい発見などはありましたか。

A松林うらら大阪アジアン映画祭のクロージング作品に選ばれて、初めてお客さんと一緒に観ましたが、会場で笑いが起きたり、終わった後に「面白かったよ」と言っていただけて、作って良かったと思いました。今回のテーマである、女性の生きづらさや、俳優として多様性を持たなければならないということを次の世代につなげていかなければならないと思っていたので、それが届けられればいいなと思いました。ジェンダーに関しては平等がいいと思っているわけではなくて、男、女というよりも一人の人間としての個を大切にしたいと思っています。男が悪いと決めつける映画にもしたくなかったので、男性も女性も気づかされることがある映画になっていると思いますので、ぜひ観ていただければと思います。

Q 今後の展望をお聞かせください。

A松林うらら自分で企画して製作することを続けていきたいと思います。全部オリジナルで作りたいです。女優で監督のグレタ・ガーウィグにあこがれているので一緒に仕事ができたらいいなという夢もあります(笑)。ひとつきっかけになった作品ですので、これからも意味のある作品を作っていきたいと思っています。

Q 松林うららさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A松林うらら現代の女性を描くことを題材に、自分が感じたこと、体験したことを素晴らしい監督に撮っていただいて、今をときめく俳優さんたちが集結して一本の作品となりました。男女問わず、様々な角度から考えていただける作品になっているので、ぜひ映画館で観ていただけたらと思います。

Q松林うららさんからOKWAVEユーザーに質問!

松林うらら皆さんが生きづらいと思ったことは何ですか。
それと、この映画は「演じる」ということもテーマにしているので、皆さんは自分自身演じているなと思う時はありますか。

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■Information

『蒲田前奏曲』

映画『蒲田前奏曲』2020年9月25日よりヒューマントラストシネマ渋谷・キネカ大森他全国順次公開

売れない女優マチ子の眼差しを通して、“女”であること、“女優”であることで、女性が人格をうまく使い分けることが求められる社会への皮肉を、周囲の人々との交わりを介在しながら描いていく。
4人の監督が各自の手法でコミカルに描き、1つの連作長編として仕上げていった新しいタイプの作品。
監督には日本映画界の若手実力派監督が集結。最新作『静かな雨』が釜山国際映画祭上映、東京フィルメックス観客賞受賞など、国内外の注目を集める中川龍太郎、長編デビュー作『月極オトコトモダチ』がMOOSIC LAB グランプリ受賞、東京国際映画祭上映の穐山茉由、『Dressing Up』(第8回CO2助成作品、OAFF2012)で日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞受賞の安川有果、最新作『叫び』が東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門監督賞に輝いた渡辺紘文(大田原愚豚舎)が務める。
『飢えたライオン』で主演を務め、舞台、TVドラマなどでも活躍する松林うららが自身の地元である蒲田を舞台にプロデュースし、自らも出演。

また、伊藤沙莉(『タイトル、拒絶』)、瀧内公美(『火口のふたり』)など、旬の俳優が名を連ねる。

出演 : 伊藤沙莉 瀧内公美 福田麻由子 古川琴音 松林うらら
近藤芳正 須藤蓮 大西信満 和田光沙 吉村界人 川添野愛 山本剛史
二ノ宮隆太郎 葉月あさひ 久次璃子 渡辺紘文
監督 ・脚本 : 中川龍太郎 穐山茉由 安川有果 渡辺紘文
配給::和エンタテインメント、MOTION GALLERY STUDIO

https://www.kamataprelude.com/

© 2020 Kamata Prelude Film Partners


■Profile

松林うらら

松林うらら(映画『蒲田前奏曲』)1993年3月13日生まれ、東京都大田区出身。
映画好きの両親の影響で幼少期から映画の世界に魅了される。18歳でスカウトされモデルとして活動を開始、2012年、『1+1=11』(矢崎仁司監督)で主役に抜擢され映画デビュー。その後、映画中心に活動し、2017年には『飢えたライオン』(緒方貴臣監督)に主演、東京国際映画祭でワールドプレミアされ、その後、ロッテルダム映画祭など数多くの映画祭で絶賛され、プチョン国際ファンタスティック映画祭では最優秀アジア映画賞にあたるNetpac賞を受賞。最新作は山戸結希企画プロデュース『21世紀の女の子』の中の山中瑶子監督作品「回転てん子とドリーム母ちゃん」で北浦愛、南果歩などと共演。本作『蒲田前奏曲』が初プロデュース作。第15回大阪アジアン映画祭では『蒲田前奏曲』がクロージング作品として上映され、コンペティション部門国際審査委員として選出される。

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