Vol.957 俳優 吉田龍一(映画『メカニカル・テレパシー』について)

吉田龍一(映画『メカニカル・テレパシー』)

OKWAVE Stars Vol.957は映画『メカニカル・テレパシー』(2020年10月9日公開)主演の吉田龍一さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作主演の経緯についてお聞かせください。

A映画『メカニカル・テレパシー』吉田龍一もともと僕は関西で活動をしていました。CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)という関西で映画の活性化に力を入れている団体があって、映画に携わる者として一度はここで自分も携わりたいと思っていました。CO2による第13回助成作品として本作は製作されましたが、「俳優特待生起用枠」があって300名くらいの応募者の中からオーディションで選んでいただきました。

Q 「心を可視化する」という題材や台本についてどう感じましたか。

A吉田龍一普段なかなか聞かない表現ですよね。現実にないことをどう映画にするのかも含め、なかなかハードだと感じました。
台本に関しては初稿くらいの段階でクランクインしてしまっていたんです。ですので試行錯誤しながら演じました。五十嵐皓子監督はとても穏やかな方ですが、内に秘める強さをこの台本から感じました。作品はメリハリのある強さよりもゆっくりと流れるような、澄み切っているような印象を受けました。
撮影中も、当日分の台本を当日朝に受け取っていたので、キャスト同士で話し合うというよりも、各々が考えた芝居を出し合って、監督がそれに対して指示するという進め方でした。

Q そのような中で、真崎トオル役をどう演じましたか。

A映画『メカニカル・テレパシー』吉田龍一真崎は碧に無意識に惹かれていきます。この“無意識”というところがポイントで、そこを意識してしまうと無意識にはならなくなるので、演じるのは難しかったです。なので、いろいろ葛藤はありつつ、最終的にそういうものは無視することにして演じました。
真崎は研究者として確証や説明を求められる世界に生きています。それが、「心を可視化する」という、確かめなくてもいい、本当に必要かどうかも分からないものを扱うので、自分自身、撮影を終えてからもイメージが掴めずにいたんです。それが完成した映画を観ると理解できたので、なかなか得難い経験になったなと思います。世の中の本質的なところをついているし、自信を持っていい作品になったなと思います。

Q 心象として可視化された自分自身と向き合うなどの映像表現については、どのような撮影を行っていたのでしょう。

A吉田龍一立ち位置を決めて繰り返し撮りました。それらのシーンはクランクアップに近い時期の撮影だったので何が起きているかは理解できていました。ただ、撮影初期だったら難しかったとは思います。とくにこの「心を可視化する」シーン全般をカメラマンの中瀬慧さんがとてもいい映像に撮られていて素晴らしかったです。

Q 「心の可視化」について演じていてどう感じましたか。

A映画『メカニカル・テレパシー』吉田龍一見え難いものを信じる、ということはとても難しいことだと思います。それを科学的に証明し、視覚的に確証させたい、ということを碧たちは行っています。きっと現実世界でも何年後かには実現するのかもしれません。けれども科学的に成功した時には、今まで大事にしてきた人との信頼や絆のような“目に見えないもの”が消えていくのではないかとも思ってしまいます。そんな科学やこれからの未来に対するものがこの映画には込められているのだと思います。
僕自身が心を可視化する機械を使ってみたいかといえば、自分の無自覚な部分も可視化されてしまうのは恐怖でもあるので使いたくないです。僕は信じたいと思う派なので、心は見えなくていいですが、たとえば裁判の時に被告の犯罪心理が見えた方が分かりやすいですし、用途にもよりますね。

Q 映画祭での反応はいかがでしたか。

A吉田龍一映画祭でこの映画を国内外の多くの方に観ていただいき、大阪アジアン映画祭で観た海外の友人は「興味深かった。人の本質的なところを描いている作品じゃないかと感じた」と言ってくれました。

Q 吉田龍一さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A吉田龍一真崎が碧に無意識に惹かれていくところから物語は進んでいきます。真崎は秀才で現実的な世界に生きているので、ある意味、今の世の中と重なる人物です。そんな彼が「心を可視化する」という目に見えがたい世界、本当に必要かも分からない世界を探求し、いざ可視化した時に、その先に何があるのかというこの映画の物語には、僕ら自身と横並びに進んでいるような本質が潜んでいます。それを踏まえてこの映画を観ていただくと、より映画に込められたメッセージが伝わるかと思います。なかなか一回では捉えきれない作品だとは思いますし、僕自身、映画を観返したことで撮影当時には気づかなかった終盤のあるシーンの演出で、キャラクターの心情に気づかされて涙してしまいました。2回、3回観ていただくとさらに理解が深められる作品ですので、ぜひ繰り返しご鑑賞いただければと思います。

Q吉田龍一さんからOKWAVEユーザーに質問!

吉田龍一「心を可視化する」ことができるとしたら皆さんはやってみたいですか。

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■Information

『メカニカル・テレパシー』

映画『メカニカル・テレパシー』2020年10月9日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー

ある大学の研究室で、「心を可視化する機械」の開発が行われていたが、実験中に事故が起こり、開発者の三島草一が意識不明のまま目覚めなくなる。共同研究者で草一の妻の碧(みどり)は開発を続け、草一の心の可視化を試みていた。成果を出さない開発を疎ましく思う大学側は、機械の調査という名目で、真崎トオルを研究室に送り込む。
可視化された草一を目の当たりにする真崎。果たして、真崎が目にした人物は、可視化された草一の心なのか、碧の願望が可視化されたのか?徐々に碧に惹かれていく真崎は、本当に重要なことは何なのかということに気づいていく。

吉田龍一
白河奈々未
申芳夫
伊吹葵
青山雪菜/ 石田清志郎/ 時光陸/ 松井綾香
長尾理世/ 竹中博文/ 古内啓子(声の出演)

監督・脚本:五十嵐皓子
配給・宣伝 アルミード

https://mechatelemovie.wixsite.com/mechatele

(c)Akiko Igarashi


■Profile

吉田龍一

吉田龍一(映画『メカニカル・テレパシー』)1989年5月28日生まれ、大阪府出身。
映画を中心に活動。作品共に高く評価された『インフォ・メン 獣の笑み、ゲスの涙。』(17)のメインキャストに抜擢され、鋭くも圧迫感ある狂気と切なさを兼ね備えた人物を好演。引き付けられる独特の存在感で人気を博す。近年ではフランス人監督作品『UNZARI』(20)や『彼岸のふたり』(21年公開予定)への出演など国内外問わず可能性を広げている。AbemaTV「さよならプロポーズ2」も話題に。

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