Vol.959 俳優 笠松将(映画『ファンファーレが鳴り響く』について)

笠松将(映画『ファンファーレが鳴り響く』)

OKWAVE Stars Vol.959は映画『ファンファーレが鳴り響く』(2020年10月16日公開)主演の笠松将さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作主演のオファーについてお聞かせください。

A笠松将(映画『ファンファーレが鳴り響く』)笠松将オファーをいただいて台本を読ませていただきました。森田和樹監督が商業映画初監督を務めるとのことで、人の初めてに立ち会わせてもらうのは光栄だなと思って引き受けさせていただきました。演じるにあたっては芝居的な難しさもありましたし、主人公と自分が全くリンクしないので、なぜ僕なのかということも、演じようと思った動機として大きいです。
監督には事前に僕がどういうスタンスで俳優の仕事をしているかをお話しさせていただきました。この映画に出演する前くらいから出演作を選ぶ際に「その仕事だったらやらなくてもいいのでは」という意見を聞く機会が増えてきました。その意見を聞くこともあればそれでも引き受けることもありますが、そもそも僕が何を得られるかではなく、この作品には僕が必要だろうなと思えるかなので、この作品についてもその気持ちで臨むことを監督に伝えました。
監督とじっくり話した際に、監督は大病を患われて今も毎日薬を沢山服用されているとお聞きしました。僕にとってどの作品も出演することで次に進んでいくものになります。けれども監督はもしかしたらこれが最後になってしまうかもしれないという気持ちで取り組まれています。世界に対してうまく行かないと思っている主人公は監督自身なのかなと思いました。周りから見たら主人公の明彦がしでかすことは大変なことです。けれども、明彦たちにとっては、自分たちでなければできなかったこと、自分がこの世界にいた証明のような行為なんだと思います。僕は監督と話したことで、この作品をやりきらなければと思いました。

Q 役づくりについてはいかがでしたか。

A笠松将どの役も自分、という取り組み方をしているので、自分にないものを演じるのは無理だというスタンスでいます。実はこの撮影に入る頃は、別作品のために身体を鍛えてかなりの体格になっていました。さらに並行して別の作品では天才警察官の役もやっていたのでどうしようかと思いましたが、カバンの持ち方や、猫背や、顔の表情の作り方は役の心情で自然とそうなりました。一方で、明彦の吃音にはしっかり向き合って研究して作っていきました。吃音の登場人物が一時期の作品には多く見られましたが、演じ方には違和感も感じていたので、そうではない表現を作っていきました。

Q 祷キララさん演じる光莉との転がり落ちるような逃亡劇が描かれます。

A笠松将(映画『ファンファーレが鳴り響く』)笠松将祷キララさんとは役柄について打ち合わせなどはせずに、その場で合わせていきました。演じる際には、僕自身は役に入り込むということはなく、映像作品であればどのように映るのかを計算して演じているので、ハードなシーンでも平常心でいられます。もちろん、そういった重いシーンは周りがピリつきますので、シーンの雰囲気は自然とできます。スタッフ一丸となってやっていたので、段々と愛着がわく現場でした。

Q ちなみに演じる際に映像が浮かぶものなのでしょうか。

A笠松将そこは監督の組によって異なります。何度もお仕事させていただいている、ある監督は「役者がカット割りやカメラの位置を気にする必要はない」と自分とは違う理論を仰っていて、大好きな監督なので納得しています。そういった場合以外では僕はいつも聞くようにしています。そして、教えてもらえなかった場合には、割り打ち(カメラ割りの打ち合わせ)を聞いて理解します。そこにも参加できないと、場を乱すつもりはもちろんありませんが、演出部の誰かに聞いてでも、どのような映像を撮りたいのか理解して演じるようにしています。監督業に興味があるということではありませんが、もし台本づくりの段階から入れるのなら、俳優として作品のことを捉えて意見を出せるようにしたいです。実際、現場ではいわゆる著名な監督の方が、意見を受け入れてくださる印象があります。今回も意見はたくさん出しましたが、監督のやりたいことはむしろ詰め込み過ぎなくらいに明確だったので、柱を変えるような提案はしていないです。

Q 10代の鬱屈した思いのようなものが描かれていますが、ご自身ではどう感じましたか。

A笠松将10代に限らない話だとは思います。明彦はいじめに遭っていますが、僕はいじめる側の問題もいじめられる側の問題もあると思うので、100%の正義はないと考えています。そんな正義と正義のぶつかり合いが戦争になって、そうなるともはや悪です。僕自身、善もあれば悪の部分もあるだろうし、みんなそうなのだから、どんな環境、どんなに大きな相手であっても負けてはダメだと思うんです。その勝ち負けは自分で決めればいいので、とにかく負けなければいいと思います。

Q この映画はとくにどんな人に観てもらいたいですか。

A笠松将僕はどんな人にといったことはあまり考えないですが、やはりいま辛くて仕方がない人には観てもらいたいですね。僕自身も、そういう夜を何度も越えてきましたので、どんなことがあっても乗り越える、その一歩になればいいです。

Q 俳優としてご自身が大事にしていることは何でしょう。

A笠松将その時々の気持ちによっても回答が変わってくるのですが、一つ言えるのは何をするにも自分を持っていることです。何かをしなければならない時に、自分の中に何かがないと身体の中に入ってこないので、誰かを演じるからこそ自分を持っていたいです。

Q 笠松将さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A笠松将この映画の最後には主人公が一瞬だけ笑います。この映画はそこを目指していますので、ぜひ映画館に確認しに来ていただければと思います。

Q笠松将さんからOKWAVEユーザーに質問!

笠松将最近、ミキサーを買いました。身体に良いおすすめのレシピを教えてください。

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■Information

『ファンファーレが鳴り響く』

笠松将(映画『ファンファーレが鳴り響く』)2020年10月17日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

高校生の明彦は、鬱屈した日々を過ごしている。持病の吃音症が原因でクラスメイトからイジメられ、家族にその悩みを打ち明けられないどころか、厳格な父親からは厳しく叱咤され、母親からは憐れんで過度な心配をされ、脳内で空想の神を殺しなんとか自身を保っている状態だ。
そんなある日、明彦はクラスメイトの才色兼備な女子生徒・光莉が野良猫を殺している現場に偶然居合わせてしまう。光莉は、生理の時に見た自分の血に興味を駆られ、他者の血を見たい欲求を持っていた。光莉は「イジメてくる奴らを殺したいと思わない?」と明彦に問いかける。その日から明彦の中で、何かが変わったのだった。
明彦は、自身が学校でイジメられていることをホームルーム中に訴える。そのせいで明彦はさらにイジメグループから追い回されることになり、街中逃げ回るが、ついに追いつめられる。しかしそこで、光莉がまた野良猫を殺していた。そしてそのナイフで、光莉はなんと明彦をイジメている同級生を殺してしまう…。二人はその現実から逃げるように都会へと向かう。その最中に出会う、汚い大人たちをさらに殺していき、二人の血に塗れた逃亡劇は確実に悲劇に向かっていくのだった…。

出演:笠松将、祷キララ、黒沢あすか、川瀬陽太、日高七海、上西雄大、大西信満、木下ほうか、他
監督・脚本:森田和樹
制作・配給・宣伝:渋谷プロダクション

https://www.fanfare-movie.com/

(C) 映画「ファンファーレが鳴り響く」製作委員会


■Profile

笠松将

笠松将(映画『ファンファーレが鳴り響く』)1992年生まれ。
俳優として数多くの作品に出演。主な出演映画に 2018年『このまちで暮らせば』(高橋秀綱監督)、『響-HIBIKI-』(月川翔監督)、『さかな』(神徳幸治監督)、2019年『デイアンドナイト』(藤井道人監督)、『ラ』(高橋朋広監督)、『CAST:』(林響太朗監督)、『おいしい家族』(ふくだももこ監督)、『羊とオオカミの恋と殺人』(朝倉加葉子監督)、20 年は『花と雨』(土屋貴史監督) 、『転がるビー玉』(宇賀那健一監督)、 『仮面病棟』(木村ひさし監督)、『ドンテンタウン』(井上康平監督) 。テレビドラマ『平成物語~なんでもないけれど、かけがえのない瞬間~』(19/CX)、『向かいのバズる家族』(19/YTV) 、『全身刑事』(20/EX)、『有村架純の撮休』(20/WOWOW)。 WEB『FOLLOWERS』(20/Netflix)、『いとしのニーナ』(20/FOD)など。

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