Vol.968 俳優 浅野和之(舞台『23階の笑い』について)

浅野和之(舞台『23階の笑い』)

OKWAVE Stars Vol.968は舞台『23階の笑い』(2020年12月5日〜27日)に出演の浅野和之さんへのインタビューをお送りします。

Q ニール・サイモン作『23階の笑い』を三谷幸喜さんの演出で上演される本作ですが、作品の印象や役柄についてお聞かせください。

A浅野和之古き良きアメリカのノスタルジーを感じる作品ですね。三谷さんは、この上演台本も手掛けられているんですが、昔から尊敬するニール・サイモンに最大の敬意を払い、その世界観を大切にしつつ、三谷さん流の味付けをしています。物語の舞台は1950年代のニューヨークですが、日本人にも違和感のない作品になっていると思います。
この作品自体がコメディですが、登場人物がコメディ作家たちなので、とにかくジョークの連続なんです。丁々発止のやり取りが飛び交って、普通の芝居よりも相当早いテンポになると思います。
その中で僕が演じるケニーは、マックス・プリンスという天才コメディアンと長年一緒にやってきて、精神的にも頼られている人物。ところが、コメディ作家としてはキャリアの晩年に差し掛かかっているという、どこか「終わり」の象徴のような位置づけの役柄です。

Q 稽古場の様子についてはいかがでしょうか。

Aシス・カンパニー舞台『23階の笑い』浅野和之チームワークがすごく良いですね。三谷さんの新作では稽古が始まる時点で台本が完成していないこともありますが(笑)、今回は台本がしっかりあるし、相当早いペースで仕上がってきています。今後は、何度も通し稽古を重ねていけるので、芝居全体も落ち着いていくと思いますし、その中で、まだまだ新たな発見も出てくると思います。
稽古中の三谷さんは、芝居を面白くするためには「貪欲」な方です。セリフの言い回しを変えてみたり、言葉を加えたり、台本をどんどん現場でも練り上げていくのですが、役者自身から出てきた演技も面白がって、それをうまく生かそうとしてくださいます。そうやって、芝居が膨らんでいくのは、僕らも演じていて楽しいものなんです。今回は、いつもよりもペースが上がっている分、どんどんノッてきている実感があります。

Q コメディならではの芝居についてどのようにお考えでしょうか。

A浅野和之コメディは、相当の技術がないとできないものだと日々感じています。本当に難しい。実は、この自粛時期に、韓国ドラマにハマってよく見ていたんですが、韓国の俳優さんたちのレベルの高さを再認識しました。コミカルな演技もシリアスな演技も実に上手い!そして、コメディができるからシリアスな演技も上手いんだ、と気づいたんです。人を笑わせるのは、言葉以上にその人が持っている間合いやセンスが問われるものですから。その難しさを痛感しながら、今、まさにコメディ「23階の笑い」に取り組んでいるところです。

Q 1950年代のアメリカのテレビ界での視聴率争いや製作費削減が背景にあるストーリーですが、いまの日本のテレビ界にも当てはまりそうですね。

A浅野和之とくに今年は新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間に多くの方がネットでドラマや映画をご覧になっていたと思いますし、今後さらにテレビからネットに移行していくのかなと感じました。どんどん観る側がメディアを選ぶという方向に変わっていくのかもしれませんね。今回の作品の背景は、1950年代のコメディショーの全盛期からクイズ番組やシットコムへと番組内容が変わっていく時代です。この作品をご覧になったあと、家でテレビを観ている時に、もしかしたら、日本のテレビでも似たような変化が起きつつある、と気づくかもしれませんね。

Q 2020年は普通ではない1年になってしまいましたが、どんなことを感じたでしょう。

A浅野和之舞台やドラマの現場がストップしてしまいましたから、俳優としては手足が縛られてしまったような毎日でした。もちろん俳優だけでなく、世の中の皆さんが大変な思いをされていたので、自分だけではないんだ、と言い聞かせて何とか頑張れました。とにかく早く収束してほしいと、まずは自分たちにできる対策を毎日やっている状況です。
僕は自粛明けすぐに、三谷さんの新作『大地(Social Distancing Version)』という作品で舞台に立つことができましたが、お客様の中には芝居が始まった瞬間に思わず涙が出たという方もいたと聞いて、やはり芝居というものは「不要」ではなく、無形だけれど心の中に刻まれるものなんだと確信しました。生の人間が演じる場に足を運んで観るという行為は能動的で良いなと思いますし、僕自身、俳優という仕事の尊さを感じました。今更ですが、ああ、自分はいい仕事に就いてきたんだ、これからも続けて行くんだ、という気概を改めて感じましたね。

Q 浅野和之さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A浅野和之この『23階の笑い』では、アメリカンジョークを三谷さん流に分かりやすく料理しています。僕たちの丁々発止の台詞のやりとりを楽しんでいただけたらと思います。難しいストーリーではないですし、1年の締めくくりの年末に、このコメディで笑って過ごしていただき、少しでも気持ちがホッとするような時間を味わっていただきたいと思っています。是非ご期待ください。

Q浅野和之さんからOKWAVEユーザーに質問!

浅野和之電車の自動改札で、ICカードをかざす時に、以前は進んだ前方に残額が表示されていましたが、今は入ってすぐの手元に表示されるので気づきにくいんです。なぜそういう仕様になったのかどなたかご存知でしょうか。

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■Information

『23階の笑い』

シス・カンパニー舞台『23階の笑い』2020年12月5日(土)〜12月27日(日)世田谷パブリックシアター

時は、マッカーシズムに揺れる1953年。
社会は政治、人種など様々な問題があふれていたが、テレビ業界は、熾烈な視聴率戦争の真っ只中。
その闘いの中心は、生放送のバラエティショーだった。
物語の舞台は、ニューヨーク五番街と六番街の間、57丁目通りにある高層ビルの23階の一室。
ここは、冠番組「ザ・マックス・プリンス・ショー」を持つ人気コメディアン・マックス・プリンスのオフィスである。新入りライター・ルーカスにとっては、まさに夢の現場!ここには、マックスの才能を愛し、彼のためにコントを書き、認められようと集まった個性的な放送作家たちが行き交っている。
主なメンバーは、目立ちたがりのミルト、ロシア出身のヴァル、ハリウッドを夢見るブライアン、マックスが信頼を寄せるベテランのケニー、病気不安症気味のアイラ、紅一点のキャロルとルーカスを含めた7名の作家たち。
そこに、秘書のヘレンも加わって、出自も性格もバラバラなメンバーが、毒舌を交わしながら切磋琢磨しつつ、コント作りに没頭していた。
マックスもそんな彼らを大切にしてきたが、そこに大きな問題が・・・。
大衆受けを望むテレビ局上層部が、政治的な話題も番組に織り込むマックスたちのやり方を気に入らず、厳しい要求を突き付けてきたのだ。
マックスと23階の仲間たちは、このピンチをどうやって切り抜けるのか?!
彼らに未来はあるのだろうか?

作:ニール・サイモン
翻訳:徐賀世子
演出・上演台本:三谷幸喜

瀬戸康史 松岡茉優 吉原光夫 小手伸也 鈴木浩介 梶原善 青木さやか 山崎一 浅野和之

料金(全席指定・税込): S席12,000円 A席10,000円 B席8,000円 補助席(1階)9,000円
※小学生未満のお子様はご入場いただけません。
※一般前売開始日:2020年11月20日(日)
※当日券販売予定あり。

●世田谷パブリックシアターチケットセンター
03-5432-1515(10:00~19:00)
https://setagaya-pt.jp/
※窓口での販売・発券はございません。
●チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/23f/

企画・製作:シス・カンパニー

http://www.siscompany.com/23f/


■Profile

浅野和之

浅野和之(舞台『23階の笑い』)1954年2月2日生まれ、東京都出身。
俳優として演劇、ドラマ、映画に活躍中。最近の出演作はTBSドラマ「半沢直樹」、三谷幸喜作・演出「大地」など。

http://www.siscompany.com/02manage/14asano/index.htm