OKWAVE Stars Vol.983映画『漂流ポスト』(公開中)に出演の神岡実希さん、中尾百合音さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作出演の経緯をお聞かせください。オーディションではこの映画の重要な要素でもある「手紙」を書かされたそうですね。
A神岡実希これまでに短編映画に出演したことはなく、オーディションのお話をいただいた際に、短編映画がどういうものなのかというところから細かく聞いて、映画のテーマや内容をより深く知ったことでオーディションに合格したいという強い気持ちを持って臨みました。オーディションで手紙を書くことは事前には知らされていなくて、その時に自分の思いを伝えたい相手への感謝の気持ちを書きました。
中尾百合音私も台本を読んでいくうちに映画に対してより強い気持ちになっていきました。オーディションでの手紙は仲の良かった友だち宛に書きました。
Q ちなみにおふたりは手書きの手紙を普段書くようなことはありますか。
A神岡実希私は今でも一人だけ文通している相手がいます。事務所に入る前に英語の塾に通っていた時からの友だちで、メールでの連絡もできますが手紙のやり取りも続けています。
中尾百合音私は小学生の頃に学校で友だち同士で紙に書いてやり取りしていたくらいで、はがきの年賀状も今は書かなくなってしまいました。
Q 震災当時のことと、漂流ポストについてはどう感じましたか。
A神岡実希私自身は、3.11当日は小学校で歌の練習を教室でしている時に地震が起きて、一番後ろの席だったのでみんなのランドセルが崩れてきそうで怖くて泣いてしまった覚えがあります。近所では火事も起きていて、祖父母が料理屋をやっていたので心配しながら急いで帰りました。
漂流ポストの存在はこの映画に関わることで初めて知りました。この作品を通じて誰かが救われればいいなと思いました。最近になって当時の震災の映像を見て思いを新たにしました。
中尾百合音3.11の時は小学1年生で家にいました。母と一緒に姉を学校まで迎えに行った際に母が泣いてしまって初めて大変なことが起きているのだと理解しました。液状化現象が起きて校庭が泥だらけになってしまって、有名人の方がボランティアで復旧作業に来られたりもして、段々と震災の被害について気付かされたんです。
漂流ポストのことはこの映画で初めて知りました。身近な人を亡くした経験は撮影直近ではなかったですし、亡くなった方に手紙を書いた経験もありません。でも、漂流ポストの存在を知って、現地に行ってみたいという気になりました。
Q 役柄をどう受け止めましたか。
A神岡実希恭子は心の中で葛藤しているので、シーンごとの恭子の内面を紙に書き出して考えました。自分と似ている部分もあるし、自分の経験から感じたことを加えながら演じました。
中尾百合音二人のシーンは震災前の話なので震災や漂流ポストのことは考えずに演じました。園美は自分の世界観を持っていて、それが他の人と重なる部分はなかったけれど恭子ちゃんとは仲良くなれたところは等身大に感じました。私も撮影当時は中学生だったので、役柄を意識しながら学校に通っていて、一人で絵を描いている子の様子を観察したりもしました(笑)。一人でいたいと思うところや仲の良い子には笑顔を見せたりするところは自分も似ていると思いました。
Q 二人のシーンで監督から何か言われたことやお互いにはどんな話をしましたか。
A神岡実希監督から言われたのは二人の距離感です。飾らず、自然体でいいと言われていましたので、私たちで話し合って演じました。
中尾百合音私たちはこれまでに共演歴はありませんでしたが、同じ事務所でレッスンを一緒に受けていたので面識はもともとありました。
神岡実希当時私は高校2年生で、先輩として引っ張ってあげたいという気持ちで現場にいました。
中尾百合音神岡さんはレッスンの時と現場では印象が違って見えて、格好良かったです。私ひとりでいる現場よりも心強かったです。
Q 映画をご覧になってどう感じましたか。
A神岡実希私たちのシーンは映像がすごくきれいで、この映画に関われて本当に良かったと思いました。でも、自分の顔のどアップを見るのには気恥ずかしさがありました(笑)。
中尾百合音きれいな映像を見ていいなと思う反面、その中にいる自分が本当に自分なのかなと、ちょっと違う人に見えて不思議な気持ちでした。
神岡実希主人公の園美ちゃんが漂流ポストに行く現在のシーンは、撮影の様子を見ていなかったので、園美ちゃんが恭子に抱いていた気持ちを完成した映画で知って、それを思うと恭子としてももっと何かバトンをあげることができたのかもしれないなと思いました。
中尾百合音現在のシーンはいち視聴者として、園美のその後の葛藤や怒りの感情に驚かされたんです。自分の演じた役のその後を別の方が演じていることで、今まで演じた役とは違った感覚になりました。
Q 震災の風化という問題がある中で、震災で亡くなった恭子を思う園美の気持ちが描かれたこの映画にちなんで、ご自身の忘れたくないことや感情についてお聞かせください。
A神岡実希私は20歳になりましたが、10代の時に思っていた大人へのフラストレーションや熱量を忘れたくないなと思っています。10代の自分がこうはなりたくないなと感じていた大人にはなりたくないですし、いま自分のように感じている子には寄り添ってあげたいです。この気持ちは今も忘れていませんし、ずっと覚えておきたいです。
中尾百合音初心と感謝です。芸能活動を始めて5、6年経って、大人と話すことに慣れてきて段々と緊張しなくなってきたので、初心を忘れずいい緊張感を持ち続けたいと思います。感謝の大切さは小さな頃からずっと親に言われていて、感謝の気持ちがあって損することは絶対にないですし、「ありがとう」という言葉は言い続けたいです。
Q 神岡実希さん、中尾百合音さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A神岡実希この映画の撮影は3年前で、3.11から今年は10年です。この映画を観て大切な人のことを思い出したり何か救われればいいなと思いますし、震災があったことを思い返していただければとも思います。身近にいる人のことを大切にしようと思っていただければうれしいです。
中尾百合音震災について清水監督や漂流ポスト管理人の赤川勇治さんが伝えたいことが込められている映画です。それに関わることができたのはありがたいことだと思っています。観ていただいた方にその思いが伝わればいいなと思います。
Q神岡実希さん、中尾百合音さんからOKWAVEユーザーに質問!
神岡実希映画の中で園美と恭子はお互いへの手紙をタイムカプセルに入れていましたが、もし皆さんが同じような立場だったら友だち宛にどんな手紙を書きたいですか。
中尾百合音いま手紙を渡したい相手はいますか。その人は自分にとってどんな人でしょうか。
■Information
『漂流ポスト』
2021年3月5日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー中
東日本大震災で親友の恭子を亡くした園美は、心のどこかで死を受け入れられず日々を過ごしていた。
ある日、学生時代に恭子と埋めたタイムカプセルが見つかる。
中には『将来のお互い』に宛てた手紙が入っていた…。蘇る美しい思い出と罪悪感。
過去と向き合う中、震災で亡くなった大切な人へ届けたい言葉・伝えることができなかった想いを綴った手紙が届く【漂流ポスト】の存在を知った園美は、心の復興を遂げることができるのか・・・
雪中梨世 神岡実希 中尾百合音
藤公太 永倉大輔
監督・脚本・編集・プロデュース: 清水健斗
撮影監督: 辻健司
撮影協力:赤川勇治漂流ポスト3.11
配給:アルミード
公式サイト: https://www.hyouryupost-driftingpost.com/
公式ツイッター: hyouryupost
公式Facebook: hyouryupost.film
(c) Kento Shimizu
■Profile
神岡実希
2000年9月5日生まれ、埼玉県出身。
近年の主な出演歴は、ドラマではNTV「シンドラ バベル九朔」(20)、TBS「初めて恋をした日に読む話」(19)、BS日テレ「恋の病と野郎組」(19)、映画では、『ナラタージュ』(17/行定勲監督)、『斉木楠雄のΨ難』(17/福田雄一監督)などがある。また、2019年より岐阜県飛騨市の観光大使を務めている。a
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中尾百合音
2003年11月24日生まれ、千葉県出身。
近年の主な出演歴は、ドラマではNTV「35歳の少女」(20)、BS日テレ「恋の病と野郎組」(19)、CX「グッドドクター」(18)、EX「刑事7人」(17)、映画では、映画『来る』(18/中島哲也監督)などがある。また、東海住宅の2代目イメージキャラクターを務めている。
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