OKWAVE Stars Vol.999は映画『ドリームズ・オン・ファイア』(2021年5月15日より公開中)主演の仲万美さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作にて映画初主演に至った経緯についてお聞かせください。
A仲万美あるパーティーでフィル・メッキー監督が声をかけてきてくれたんです。自分のことを知っていて、すごく派手な名刺と共に「いま映画を作っているんだよ」と。それからだいぶ経ってフィルと再会して「ダンスの映画の台本ができたから主演で出て欲しい」と言われて。すっかり忘れていたから「あ、本当だったんだ」と。フィルとの会話はすべて英語でしたが台本は日本語で書かれていて、まさにダンスの映画だったから自分にしかできないなと思いました。
Q 映画初主演の感慨としてはいかがでしょう。
A仲万美お芝居を始めてすぐの時期で突然の初主演だったので、もちろん嬉しかったです。これが違ったジャンルの映画だったらもっといろんな思いがあったのかもしれませんが、ダンスの映画なので、この映画の主演は自分で適任だと(笑)。だからプレッシャーはなかったです。フィルが「万美がいい」と推してくれたし、お芝居も自由にさせていただいたので、自分はその気持ちに応えればいいだけでした。
Q ダンサーを目指すユメ役とシンクロするところは多かったのでしょうか。
A仲万美ダンサーを目指して家出して、漫画喫茶に泊まり込んでいるユメちゃんの真似はできないです(笑)。もちろんユメちゃんもダンスが好きで、自分もダンスが好きなのでそこはシンクロして演じられたかなと思います。
Q 台本の印象はいかがだったでしょう。日本語を話さない外国人監督が撮ったとは思えないくらい日本文化や社会がリアルに描かれている印象です。
A仲万美生々しかったです。自分も経験したことがたくさんあって、すごくリアルに書かれているなと。ちゃんと日本を描いているのが面白いですよね。ユメちゃんは歓楽街で働きますが、わりとよくあることで、そんな“ダンサーあるある”がつまった映画だと思います。でも、そんなダンサーでも見たことがないダンスの世界も描かれているんです。
映像表現は日本人監督とはかなり違っています。日本人だったらもっと緻密に撮るのでしょうけど、外国人ならではの大胆さやインパクトがあって、それでいて内容の濃さもしっかりあるんです。
Q ダンスの振付はご自分でされたのでしょうか。
A仲万美ユメちゃんのダンスはすべて自分におまかせでした。「万美が思うようにやっていいよ」とフィルに言われたので、台本からユメちゃんの気持ちを考えながらひとつひとつの踊りの動作の感情を考えながら作っていきました。終盤のコンテストでのダンスは、ユメちゃんとしても一番自分を見せたい場面だから、伸び伸びと踊りました。
ユメちゃんがヒップホップのクラスでレッスンを受けるシーンは、ダンサーのYumer1ちゃんが作った振付を教えてくれたので、自分はヒップホップはやっていなかったからユメちゃんと同じ気持ちで「難しい!」と思いながら踊っていました。実際にレッスンを受けている様子を撮られていたようなものですね(笑)。
Q お芝居部分では、高嶋政宏さんのインパクトが強いですね。
A仲万美恐縮ながら高嶋さんはとても演じやすくて「これがお芝居というものか」と思いました。現場でご挨拶をして、本番が始まる直前まで「ここのご飯はすごくおいしくてね」といろんな話をしてくださって、そんなコミュニケーションの流れでそのままお芝居をされるので演じやすかったんです。結構アドリブを入れてこられるのですけど、そのコミュニケーションがあるから自分もすんなりと返すことができたので、楽しかったです。
この映画ではダンサーやエキストラの方々など、お芝居の経験がない方も多かったので、逆にナチュラルな反応が勉強になる部分もありました。みんなで和気藹々と騒いで楽しい現場でした。
Q ご自身がダンスを始めたきっかけをお聞かせください。
A仲万美5歳で始めました。お母さんが地元の熊本で学生の頃にミュージカルのダンサーだったんです。母は夢を叶えるために東京に出てきていろんなオーディションを受けていた時にお父さんと出会って、2歳上のお姉ちゃんが生まれて、その後に自分と続いたので夢は叶えられずで…。それでお姉ちゃんが7歳、自分が5歳の時に「ダンスをやれ」と託されたのがきっかけですね。お姉ちゃんはダンスが好きだったので、一人やるならもう一人も、と無理矢理でしたから、やりたくないレッスンのときはトイレに逃げたりもしていて、最初は大っきらいでした(笑)。でも中学生になった時に、お姉ちゃんに負けたくないという気持ちになったんです。自分のクラスではトップでしたけど、お姉ちゃんは上のクラスでトップだったので、見返してやるという気持ちで、そこからはダンスも好きになりました。その後、お姉ちゃんはダンスをやめてしまったので、目標がなくなりかけた時期もありましたが、新しい目標を見つけて続けられました。その頃は負けず嫌いでしたけど、いまは負けてこそ成長とも思うようになって、むしろマイペースになりました。
Q その後のご活躍に、お母さんの反応はいかがだったのでしょう。
A仲万美お母さんは自分が高校生の頃はダンスを一切応援してくれなかったんです。ダンスはお金がかかることもあって、文句を言われたり、しょっちゅうケンカになってしまいました。それが21歳頃にBoAちゃんのツアーダンサーを務めた時に、お母さんがそれを見て号泣をしたらしいんです。小さい頃にダンススクールでBoAちゃんの曲を踊ることが多くて自分もBoAちゃんが好きだったので、本人のバックダンサーをやっているということに泣きそうな気持ちになりましたが、お母さんもその頃のことを思い出したのかなと。その頃から応援してくれるようになりました。でもその後は泣いてはくれなくて、アドバイスされることが多いです。自分がお芝居の仕事も始めてミュージカルにも出演するようになったので、先輩目線でいろいろ言われるんです。でもそれも母なりの応援なのかなと思います。
Q 本作主演を通じて、新しい発見などはありましたか。
A仲万美自分はやっぱりダンスが好きなんだと思いました。終盤にユメちゃんは踊り終わった後に、いろんな感情が沸き起こって泣いてしまうんです。そのお芝居をしている時がすごく気持ち良くて。一曲踊りきったままカメラが回っているので、自分自身、疲れてはいるんです。だからリアルなシーンですし、その時のユメちゃんの表情を映像で見て、この子はダンスが好きなんだなあと思いましたし、同じように自分もやっぱりダンスが好きなんだと再確認できました。
Q 仲万美さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A仲万美ダンスの映画ですが夢や好きなものがある人は観ていてきっと何か燃えるものが見つかると思います。夢があってそれに向かって走って、それが必ず叶うほど甘い世界はないとは思います。ユメちゃんはいろんなところに寄り道したり、挫折したり、立ち直れないと思う時もあれば、立ち上がって何かを掴める時もあります。でも、その先に何があるのかは分かりません。皆さんの夢や好きなもののためのちょっとした炎になればいいなと思います。
■Ionfromation
『ドリームズ・オン・ファイア』
2021年5月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
ダンサーになる夢を実現するため、家族の反対を押し切り上京したユメ。個性溢れるダンサーたちとのレベルの差に衝撃を受けるも、目標を達成させるために努力は惜しまない。無一文だった彼女は東京の歓楽街で働くことを決意。先の見えない夢と現実の狭間でもがきながら、たくさんの人たちと出会い、ユメはダンスを続けていくのだが…。
仲万美
高嶋政宏 麿赤児 黒田育世 奥田咲 紅林大空 メデューサ・リー 山下雫
監督・脚本・編集: フィル・メッキー
配給: DOF
■Information
仲万美
5歳からダンスをはじめ、20年以上のキャリアを誇る。
これまで加藤ミリヤ・BoAなどのバックダンサーを務め、2015 年にはマドンナのバックダンサーとしてワールドツアーを約1年半同行。2014年・2015年・2016年・2019年には、NHK「紅白歌合戦」において椎名林檎アーティストダンサーを務めた他、2016年リオデジャネイロオリンピックの閉会式における、日本のプレゼンテーション「SEE YOU IN TOKYO」にも参加するなど、世界的にも活躍。
2019年1月に岡崎京子氏原作の話題映画『チワワちゃん』では、女優デビューを果たし、舞台「ROCK OPERA『R&J』」では、ヒロイン・ジュリエット役に抜擢。その他、雑誌・広告・CM・MV・イベントなどに数多く起用されるなど、今後の活躍も期待される。
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