Vol.500-2 『シネマの天使』完成披露試写会舞台挨拶

『シネマの天使』完成披露試写会舞台挨拶の模様をお送りします。

■登壇者(敬称略)
藤原令子、本郷奏多、阿藤快、ミッキー・カーチス、時川英之(監督)

>Vol.500 時川英之監督インタビュー

Q ご挨拶をお願いします。

A藤原令子『シネマの天使』藤原令子皆さんに観ていただけるのが嬉しいです。

本郷奏多1年くらい前にこの映画を撮ったのですが、ようやく皆さんに観ていただけるのでどういうふうに観ていただけるのか。ぜひ楽しんでください。

阿藤快この映画はあっという間に撮りました。なぜなら壊される映画館で撮らなければならなかったからです。

ミッキー・カーチス俺、まだ観てないんだ。朝行ってパッパと撮ったので、皆さんと一緒に観ようと思います。

時川英之1年前の今頃撮影を終了しました。映画館の映画ですので、映画館で観ていただけるのが嬉しいです。素敵な映画になったと思います。

Q 映画館の閉館というところからどのように映画にしていこうと思ったのかお聞かせください。

A本郷奏多『シネマの天使』時川英之大黒座は福山市に122年間ありました。昨年の5月くらいに大黒座のスタッフの方から「大黒座を壊すことになったのでそこで何か撮影してもらえませんか」という依頼がありました。何を撮っていいのか初めは分からず、打ち合わせの時に、「大黒座を舞台にした短編映画を撮ったらどうでしょうか」と気軽に話したら、スタッフの方がどっと泣き出してしまって。それで僕も大黒座の方々の思い入れが初めて分かって、真剣に考えないといけないなと、閉館する映画館のために何ができるんだろうと考えました。それで、もし仮に大黒座を壊す前に長編の映画を作ることができたら、大黒座が無くなった後も残るので素晴らしいことなんじゃないかと提案しました。その時点で6月末で、大黒座を壊す日程は9月半ばでした。そこから脚本を書いて、皆さんにも急な中、声をかけさせていただいて、素晴らしいキャステイングが実現しました。今はもう大黒座は無いですけど、今日ご覧いただけます。

ミッキー・カーチス大黒座を取り壊すドキュメンタリーを撮ろうじゃないか聞いていたけど、壊す時に最近だと幕をつけて見えないらしいね。

時川英之実話をベースにしていますがフィクションの映画です。でも、リアルな大黒座の閉館の話に近づけたかったので、実際の大黒座で撮っていますし、働いていた方々やお客さんに話を聞いて全エピソードに織り込んでいます。セリフやキャラクターも実際にいた方をモデルにしています。映画の中で閉館する大黒座の壁にお客さんからのメッセージが書かれていますが、それも実際のものです。

Q 今回どんな想いで出演されましたか。

A阿藤快『シネマの天使』藤原令子私はいま初めて経緯を聞きました…。

時川英之すごくドタバタと始まった撮影だったので話していなかったかもしれませんね。

藤原令子21歳の等身大の女の子の役で、同じような悩みを当時抱えていたので、私も映画を通して変われたかなと思います。ドタバタと始まったので、初主演ですが主演としての心の準備はなく、ただ一生懸命やったという感じです。

本郷奏多実はこの映画の主役は実は大黒座であって、歴史のある、本当にあったものを使っているからこそ、すごくメッセージ性があると思います。壁に書いてあるメッセージとか、実際に映画館に足を運んだ方の想いがすごく載っている作品で、すごくいい作品に久々に出させてもらったな、と……違いますよ?(会場:笑)あったかい作品に久々に出たな、ということです!藤原さんもその後活躍されてますから、そういう方の初主演に一緒に出させてもらって光栄ですよ。ね!

藤原玲子私に振らないでください!

本郷奏多それと、僕は違うんですけど、広島に縁のある方がキャストもスタッフもすごく集まっていて、本当にこういうテーマだからすごくいいな、と思った宮城県民です。こちらからは以上です。

ミッキー・カーチス映画の中でステッキを使いたいなと言ってスタッフに用意してもらったのが今持っているステッキです。実際に使っています。気に入ってます。僕は映画館の暗闇に居るか、いつの間にか屋上に連れて行かれて。後は見てのお楽しみです。

時川英之ミッキーさんは本当に素晴らしくて。脚本を書いている時から謎の老人役はミッキーさんしか思い浮かばなかったです。無理かもしれないけど聞くだけ聞いてください、とお願いして、快諾していただけました。

阿藤快映写技師の役ですが、技術的には無理だなと思いました。でも、あの光が出てくる部屋からはお客さんの姿がよく見えるんです。セリフにも出てきますが「あそこでいちゃついてる」とか、そういうのも見えるんです。初めてデートに来たとか、そういう風に映画館が使われていたんですね。僕は福山にも大黒座にも縁があるんです。撮影で5ヶ月くらい滞在していて、その時に大黒座の運営会社の社長さんや会長さんにごちそうしていただいたこともあります。大黒座が閉館する際に、最後に上映する時にも行っているので縁があるなと思います。

Q 映画館の思い出はありますか?

Aミッキー・カーチス『シネマの天使』ミッキー・カーチスいろいろあるけど話せないよ。唯一堂々と暗いところにいけるんだもん(会場笑)。

藤原令子私の実家の方には大黒座のような映画館が近くにないので、撮影で行かせてもらった時はこんなにきれいなのに何で無くなっちゃうんだろうと思いました。スクリーンも大きいし羨ましかったです。映画館に関するエピソードは、実家から遠かったので…

本郷奏多無いってことですね。

藤原令子要約するとそうですね。なかなか行けなくて。ここが思い出の映画館になりました。

本郷奏多言わされてますけど大丈夫ですか?(会場笑)

藤原令子でも、ミッキーさんが映画の中で話している言葉に私も感銘を受けて、これから私もこういう映画館にいっぱい行きたいと思いました。

本郷奏多僕は舞台挨拶で来る回数の方が圧倒的に多いので、あんまり思い出はないんですけど、

藤原令子無いんじゃん!

本郷奏多でもね、我々は出る立場でこの作品に出てくるみんなが映画館を愛して必要としていて、そういう風に思ってくれている人がたくさんいるんだなと僕も思うことができて、すごく良かったと思います。これからも頑張ろうと思います。

阿藤快子どもの頃日本映画は週2本、月8本おじいちゃんに連れられて観に行きました。僕は小田原の生まれですけど、市内に映画館がたくさんありました。ある時に間違って『東京物語』という映画に連れて行かれて、子ども心には全く面白くなかったのが思い出です。あの頃は映画館が沢山あったのに、今では小田原市内にはどの映画館もありません。まとまったところにシネコンはありますけど町の側に無いのが寂しいです。

ミッキー・カーチス新聞に四段くらい映画の広告が出ていて、しかも観ていないのを探すのが大変だった。

Q 今日は広島県福山市から特製まんじゅうが届きましたので、ヒット祈願として皆さんで食べたいと思います。

A阿藤快本郷くん大丈夫なの?噂に聞いているよ、グミしか食わないって(会場笑)。

本郷奏多和菓子はあんまり…。いえいえ、一生懸命作ったんですから、好きですよ。うん、美味しい!やらなきゃいけない時は僕はやりますよ。

阿藤快本当にちょっと食べた!(会場笑)

Q 最後にメッセージをお願いします。

A時川英之『シネマの天使』時川英之もう大黒座も無いので、この映画に参加できて本当に良かったと思いますし、僕自身この映画を作ってみて映画館で映画を観ることの大切さや楽しさを再発見することができました。それをぜひ感じてほしいです。大黒座を知らない方もたくさんいると思いますけれど、ご自分の行かれていた映画館との思い出があると思います。この映画を観ることでそれを思い出していただけたらと思います。

本郷奏多本当にハートフルな作品で、悪い人がひとりも出てこないのが今時珍しいかなと思います。やはり自分の映画館との思い出と重ね合わせて観ていただくのが一番かなと思います。温かい気持ちを受け取って帰っていただけたらと思います。

藤原令子その時にしかできない撮影をさせていただいていて、セリフの一つ一つも本当にあったことなので思い入れがあると思います。いろんなことを感じてくれたら嬉しいです。

>Vol.500 時川英之監督インタビュー


■Information

『シネマの天使』

『シネマの天使』2015年11月7日(土)公開

老舗映画館の大黒座が閉館することになった。
そこで働き始めたばかりの新入社員 明日香は、ある夜、館内で謎の老人に出会うが、彼は奇妙な言葉を残し、忽然と消えてしまう。
バーテンダーのアキラは、いつか自分の映画を作りたいと夢見ている。大黒座の女性支配人は、閉館への反対を押し切って気丈に振る舞っていた。泣いても笑っても、もうすぐ、大黒座はなくなってしまう…。
劇場の壁という壁が、町の人々が書いたメッセージで埋まっていく。そしてついに閉館の日。スクリーンに最後の映画が映し出されると、明日香の前に、あの謎の老人が再び現れ…。長い歳月の間、人々に愛されてきた映画館が、最後にくれたサプライズとは…。

脚本・監督:時川英之
出演:藤原令子 本郷奏多
阿藤快 岡崎二朗 安井順平 及川奈央 小林克也(声の出演)
ミッキー・カーチス 石田えり
配給:東京テアトル
公式サイト:http://cinemaangel.jp/

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