OKWAVE Stars Vol.631では、第67回ベルリン国際映画祭にて、31年目にして日本映画“初受賞”の快挙となったテディ審査員特別賞(TEDDY Special Jury Award ※)を受賞した『彼らが本気で編むときは、』荻上直子監督のコメントをお送りします。
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Q 受賞についてコメントをお願いします。
A荻上直子ベルリン国際映画祭の全作品の中で、LGBTを題材にした映画に贈られる特別な賞なので、この“テディ審査員特別賞”は、非常に嬉しいです。でも私は、正直、トランスジェンダーの人がトランスジェンダーのことで悩んでいるだけの映画は作るつもりは最初から無くて、「女性として普通に」恋愛をし、仕事をし、生活を営んでいる「普通の女性」を描きたかったんです。差別されたり、理解されなかったり、陰口をたたかれたり、傷つけられたり、大きな悩みを抱えながらも、前向きに生きる「ひとりの女性」を、です。トランスジェンダーの人でも心は女性なのだから母親になれるかもしれないという夢を見れることや、血の繋がりがなくても親子になれる希望が持てることや、子どもを産まなくても母性を持てることや、さらに「その恋人」や「その家族」、「母親と子ども」の関係性を一番描きたかったんです。この映画が「さまざまな家族のカタチ」を受け入れたり、考えたりすることのきっかけになって欲しいんです。今まで持っていた「普通」の概念を見直すきっかけになれれば嬉しいです。この映画を観て、LGBTに対する理解を深めてほしいと心から願っています。ベルリン、Danke schön!(ありがとう!)
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■Information
『彼らが本気で編むときは、』
2017年2月25日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー!
小学生のトモは、母ヒロミと二人暮らし。ある日、ヒロミが男を追って姿を消す。ひとりきりになったトモは、いつものように叔父のマキオの家に向かう。以前と違い、マキオはリンコという美しい恋人と一緒に暮らしていた。リンコの美味しい手料理や母親が決して与えてくれなかった家庭のぬくもりとトモへの愛情。最初は戸惑うトモだったが、リンコの優しさに閉ざした心を少しずつ開いていくのだった。
本当の家族ではないけれど、3人で過ごす特別な日々は、自分らしさと本当の幸せを教えてくれた。嬉しいことも、悲しいことも、どうしようもないことも、それぞれの気持ちを編み物に託して、3人が本気で編んだ先にあるものは…。
生田斗真 桐谷健太 柿原りんか
ミムラ 小池栄子 門脇麦 柏原収史 込江海翔 りりィ 田中美佐子
脚本・監督:荻上直子
配給:スールキートス
公式ウェブサイト:http://kareamu.com
© 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
※テディ審査員特別賞:
1987年に創設された、LGBT映画を表彰する賞。1992年からベルリン国際映画祭の正式な賞と認められ、ベルリン国際映画祭の審査員とは独立した審査員によって選ばれる。同様の賞としてヴェネツィア国際映画祭にクィア獅子賞(2007年~)、カンヌ国際映画祭にクィア・パルム(2010年~)があるが、テディ賞はそれらの20年以上前から実施されている、最も歴史ある賞である。